【インタビュー】遠誠(株)代表取締役 鄭 志遠 氏

昨年10月から中国製レーザー加工機の輸入・販売をスタートした遠誠株式会社。レーザー加工機の業界では同社を知る人も少ないだろう。しかし、日本全国で1,021店舗と取引し年間の仏壇製造数は1,500本以上を誇る宗教用具を製造販売する、その業界では知られた企業だ。本業とは無縁のレーザー加工機の販売業に昨年10月に新規参入し、どのように営業展開していくのか。今後の取り組みについて代表取締役 鄭 志遠氏に聞いた(聞き手は落合平八郎)。

輸入販売するG-WEIKE社製の加工機について

 G-WEIKE社は中国山東省に本社があり、製造スタッフや研究開発者を合わせると約700人以上います。中国はじめ海外での特許も取得するなど高い技術力をもつ企業で、ヨーロッパをはじめアメリカ、カナダなど100を超える国と地域に様々な製品を輸出しています。知人が購入した加工機を導入する際も中国から担当者がきてトレーニングに対応したほか、当社からも現地へスタッフを派遣してトレーニングを行っています。まだ導入は数件ですが、見積依頼や引き合いが増えており、実際に加工機が見たい方やサンプルのデモ加工をしたいというお客様に対応できるよう、当社の展示場に加工機を準備しています。

【写真】同社の展示場の一部。サンプルを持ち込んでデモ加工ができる。見積依頼や引き合いが増えている。

レーザー加工機の輸入・販売に至ったキッカケ

 2019年頃にステンレス加工業の知人から「ネットでみた中国製レーザー加工機が安価なので購入を検討したい」との相談を受けたのがキッカケです。私が中国語を話せるということで、通訳として現地へ同行して確認にいきました。すると加工精度が良く、その知人も大変満足していました。そのレーザー加工機は中国・G-WEIKE(ジー・ウエイク)社のものでした。該社の担当者に当社が中国で宗教用具を生産して日本で輸入販売していることを話したところ、「G-WEIKEの加工機を日本で販売してみないか」との誘いがありました。国内製に比べると安価なのに品質がしっかりしていることから、2022年10月からG-WEIKE製加工機の販売代理店としてスタートしました。

【写真】G-WEIKE社の加工機製造工場(同社HPより)主にヨーロッパやアメリカなどへ輸出している。
同社の鄭志遠氏は通訳なしで現地スタッフと直接打ち合わせができるので日本の顧客も安心して相談できる。

宗教用具で培った経験を生かして

 お客様から「大手から加工機を購入したのにアフター対応が全くダメ」といったお悩みの声を聞くようになりました。宗教用具と分野は異なりますが、お客様に対する誠実な対応は同じです。例えば10年前に当社製の仏壇を購入したお客様から木材が変色したといったクレームがあっても丁寧に対応しています。仏壇は宗派や地域によって外形や使用する木材、金箔などの装飾、釘一本に至るまで細かな仕様があり、それを組み合わせると約3000種類の仏壇があります。こうした経験があるので、加工機についても覚えることはたくさんありますが、十分に対応しています。わたし自身が現地の中国人スタッフと通訳なしで会話ができるのでお客様にも安心していただいています。

【写真】本業のホームページ。とても同じ会社が中国製加工機を販売しているとは思えない。しかし、「お客様への丁寧な対応は同じ」(鄭 志遠氏)。

 

展示会へ初出展する意気込み

 今回初めてPhotonix展に出展します。昨年視察してビジネスチャンスを感じたのでその場で出展予約をしました。出展ブースはかなり広いスペースを確保し加工機を持ち込んで実物をみていただこうと思っています。国内製に比べると安価なので不安に感じるお客様も多いと思いますが、加工機に使っている主要部品のほとんどが日本製です。当社ブースまでご来場いただきたいです。

【写真】同社のスタッフ。中央が鄭 志遠氏。学生時代に日本に留学して宗教用具の会社にアルバイトしたことがキッカケで同社を創業。
加工機の販売には若くてエネルギッシュなスタッフがサポートしている。