モールドロック®の主な特長は、完全溶融と低圧成形です。これにより、ソリ、ヒケ、ウェルドといった従来の品質課題を克服し、製品の外観品質と機能性を大幅に向上しました。また、異種材のインサート成形においても密着性が飛躍的に上がり、高品質な製品の実現が可能となります。

【プラ太郎】
一般的な射出成形機の高圧高速充填とは真逆の発想で、品質機能の向上を可能にしたんですね。

【浅霧氏】
レンコン型の加熱筒を通過して溶融した樹脂にかかる応力はなく、発生したガスは上方に開放されるので、良質な溶融樹脂を射出成形できます。この樹脂がストレスなくゆっくりと金型に充填されます。結果として、従来の成形機では難しかった外観・機能をみたすことが可能になりました。

【プラ太郎】
ポリカーボネートやPEEKを使用した肉厚の実例サンプルを見た時、驚きました。

【浅霧氏】
そうですね。射出成形の技術者さんは皆驚かれます。モールドロック®の「完全溶融樹脂の流動性が高い特長」は成形品がヒケないんです。応力がすくないのでレンズ表面の虹色のムラを目視で確認できないほどです。また、完全溶融した樹脂は、意匠面の転写性やインサートの密着度も向上することが実証されています。

【画像】溶融器（PAT）独自のスクリューレス溶融方式により樹脂を完全溶融

　商品開発において、品質、コスト、納期（QCD）の向上は重要な要素です。モールドロックは、卓上に収まるサイズでも70CCもの樹脂を射出できます。この量は100tクラスの成形機と同等です。また、低圧成形は、金型への負担が少ないため、金型の小型化に貢献します。省エネなプロセスにより電気・水道代を大幅に削減し、イニシャルコストも低減させることで、新製品開発の競争力を飛躍的に向上させます。少ロット多品種の製品開発と相性が良く、商品デザインから商品化までに最短４日間。これにより、市場の変化に柔軟に対応し、新しいアイデアの実現をスムーズに推進します。

【画像】開発室の中で“製品開発が最短４日”

【プラ太郎】
モールドロック®は、新規開発を省力化しますね。

【浅霧氏】
モールドロック®を導入されている90％以上のユーザー様が、研究開発の用途です。開発に係るＱＣＤを大幅に削減できます。トライ＆エラーありきの開発現場では、悩むより実証がマストです。最短４日間で商品化できる速さは、大きな魅力です。また、低圧成形のメリットは金型の消耗軽減に繋がっています。プラスチック製の樹脂型でも連続1,000ショットの耐久実績があります。

【プラ太郎】
高品質な成形品を成形できる小型成形機というコンセプトが、研究開発にぴったりマッチしますね。

【浅霧氏】
さらに、小型を活かした別のアプローチも検討されています。モールドロック®を製造ラインに組み込みインサート成形をしたり（インライン成形の自動化）、複数台を並べて一つの金型に充填することで大きな成形品を製造可能にします。また、４方向から金型に充填することで４種成形も可能です。モールドロック®の使い方はまだまだ広がります。

　モールドロックの特長的な成形技術は、新たな分野への進出を後押しします。提案型商品開発が可能となり、様々な市場の事業拡大が期待できます。異種材の組み合わせによる革新的な製品や、国内外での競争優位性を追求する商品開発に合致する可能性が広がっています。

【写真】新たな可能性を広げるMold Lock

【プラ太郎】
実際にモールドロック®を導入されている企業様はどのような活用をされていますか。

【浅霧氏】
最短４日間で射出成形した成形品をお客様に提案できることは大きなメリットです。新商品の提案から、廃プラリサイクルを使用した商品企画、フィラーや長繊維含有樹脂の試作、金属代替の検討など、幅広くお使い頂いています。

【プラ太郎】
汎用樹脂からスーパーエンプラ、精密製品、肉厚、レンズ、廃プラリサイクルまで、色々な樹脂を成形でき、金型の製作コストが大幅に削減されているので、気軽な気持ちで新しいチャレンジができますね。

【浅霧氏】
モールドロック®をお使いのユーザー様からどんどん新しい開発実例の報告が上がってきています。また、お陰様で様々な企業様から新規お問合せをいただいており、新設しましたショールームには、毎週４～５組の企業様が来社されています。

モールドロックは、従来のQCDに革命をもたらす小型射出成形機です。その特長である完全溶融と低圧成形技術は、省力なアジャイル開発を可能にします。スピーディな顧客への提案は、工場の多品種少量生産の製造ラインの新たな未来を照らすものとなるでしょう。