いま日本の電子機器産業界が熱い。半導体をはじめ電子デバイスへの国内回帰の動きが活発化しているからだ。その背景には長らく世界経済をけん引してきた自動車産業を抜き、電子機器産業、エレクロニクス産業が二桁成長を見込めることと、モノづくりのグローバリゼーションが崩壊しサプライチェーンの再構築が始まり、国内回帰の動きが加速化しているからだ。国内最古参の半導体記者として今も第一線で勢力的に取材活動を続ける、株式会社産業タイムズ会長の泉谷渉氏に聞いた。(聞き手:落合平八郎)

電子デバイスの時代が到来

2021年はエポックメイキングな年だった。それは戦後の世界経済を引っ張ってきた、300兆円ともいわれる圧倒的な自動車産業が、半導体不足の影響により減産せざるを得ない状況だったものの電子機器産業に抜かれたからだ。いわゆるエレクトロニクス産業だ。もちろん、自動車もエコカーやEVなど高付加価値化は進むものの台数ベースでの成長率はあまり望めない。今後の世界経済は2桁成長が見込める電子機器産業がけん引していくだろう。そのうち、約4割半分近くが 半導体、一般電子部品、ディスプレイなどを含む電子デバイスだ。まさに電子デバイスの時代がやってきた。

各国における積極的な投資と先行きが不透明な中国への懸念

以前なら半導体は先端ハイテク技術の一角、という言い方をしていたが今は違う。アメリカや中国、インドなどで国家戦略のひとつとして産業を育成しようとしている。日本でも半導体に対する投資が活発化し、世界経済を担う重要な産業と位置づけられている。期待できるのがインドだ。人口はいまや14億人で、この大国インドに巨大な半導体工場の建設が続々と決まっている。これによって企業誘致が進み、新たな雇用が生まれ、商行施設ができ不動産業も活発になる。正のスパイラルが動き始まればインドマーケットはもっと注目されるだろう。しかし景気がいい話ばかりではない。消費大国の中国経済の先行きが不透明だ。中国にモノ作りにおけるサプライチェーンの多くを依存している状況下、不動産の急激な値下がりやゼロコロナ施策による経済の停滞などの悪影響を受けると世界経済へのダメージが大きい。

いまこそ国内に投資をすべきだ

それぞれの国が自国の利益を考え始めたことでモノ作りのグローバリゼーションが崩壊し、サプライチェーンの再構築が始まっている。日本の企業も海外で建設予定だったものを日本国内にした事例が増加している。日本は国内企業だけでなく、外資系企業も積極的に誘致すべきだ。熊本県に台湾メーカーの半導体工場が建設されるがその経済効果は1兆7000億円だ。以前だとコストが高くて合わなかったが、この円安によって日本はコストの安い国になってしまった。しかも品質は世界一だ。今こそ、半導体工場はじめ、電子部品工場を日本国内に作るべきだ。関連部材や装置関連も日本でのモノ作りを強く呼びかけたい。

本展では、泉谷氏が登壇するセミナーを開催しました

2022年12月09日(金)|13:30 ~14:15|FTJ-S2

マイクロLEDと大型有機ELの投資動向に注目せよ!
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(株)産業タイムズ社 代表取締役 会長 泉谷 渉

次回は2023年10月4日(月)~6日(水)幕張メッセで開催します

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