[特別インタビュー]「ビジネスパーソン必読。識者に聞く!第4弾」
インタビュー:テレビ東京 解説委員 大浜 平太郎氏

この顔をみて親しみを感じる中高年世代のビジネスパーソンも多いのではないだろうか。テレビ東京 解説委員の大浜平太郎氏だ。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(WBS)で「トレンドたまご」の初代レポーターとして活躍し、現在も現場の第一線で精力的に取材活動を行っている。大手からベンチャー企業まで幅広い分野で取材してきた経験から、「中高年世代の私たちにも、Z世代と共にできることが沢山ある」という。(聞き手:落合平八郎広報事務所)


取材する側がワクワクするような企業

― いろいろな企業の人から取材してほしいと依頼が来ると思います。取材する側としてのご意見をお聞かせください。

さまざまな企業を取材してきましたが、やっぱりスタートアップ企業の取材はおもしろいですね。自分たちの価値を積極的に発信していかないと資金調達できないし、ビジネスパートナーもできない。開発した製品であればそれを買ってくれる人も出てこない。自信満々で押出感や切迫感がすごいです。実際のところは、これが正しかったのか、失敗したらどうしようかと不安で仕方ないという、というお話も聞きます。

そういうスタートアップ企業を取材していると、もっとメディア側である僕らをうまく使ってほしくなります。宣伝になるという発想ではなくて、マスメディアによる情報発信でどれぐらいの反応があるのか、ビジネスの試金石にもなると思います。仮に反響がなく誰も振り向かなかったら、やっぱりまだ何か足りないのかと振り返ることもできます。興味をもって振り向く人が多いと、メディアの役割としても価値ある取材ができたなと嬉しくなります。起業している人は社内方針で事業やっている人たちとは熱意やスタンスが違います。この先がどうなるかわからないけどとにかく世の中に出したいという熱意は、取材していて熱くなります。


Z世代との共創 中高年世代の新たな役割

― 最近、どの分野でもZ世代の台頭が話題になります。これからの時代を担う若い社員に対し、中高年世代がどのようなアプローチを取るべきだとお考えですか?

いま、テレビ業界も大きく変わりつつあることはご存じの通りで、ネット配信が台頭してきています。その現場では若手社員たちが元気に活躍していますが、それを私のような中高年世代が温かく見守るというよりも、なんだか楽しそうだから「一緒に混ぜて」というスタンスで接しています。自分にはない発想が多く、若い人たちと一緒に仕事をすることは本当に楽しいです。もちろん、彼らの意見を聞いていて、それはどうかなぁと思うこともありますが、否定はしません。むしろ、若い社員に対して「なぜそれが楽しいのか?」と聞いて、一緒に面白がっています。

自戒を込めて言うと、他の部署の人々と積極的にコミュニケーションを取ることが重要だと感じます。自分たちの部門だけでなく、横の部署ともコミュニケーションを取ることで、組織や年代が異なる人々と協力すると異なる発想が生まれます。また、私たちのような中高年世代が年の功を活かして、同じ会社内の人や他の会社の人など、新しいアイデアを持つ人々を紹介することができます。中高年世代の我々にもできることは沢山あると思います。新しいアイデアを見つける必要がある場合、社内の会議だけでは限界があります。スタートアップ企業を取材すると、たいてい社外や通常関わっていなかった人との出会いの中からアイデアのヒントを得ることが多いようです。今回の展示会「高機能素材Week」もそういうキッカケ作りの場として活用してはどうでしょうか。


世代間コミュニケーション、Z世代との理解と共感

― 若い世代とのコミュニケーションの大切さは頭では理解していますが、実際はそう簡単にはいかないよ、っていう中高年世代が多いと思います。

Z世代を理解できない、という人が多いようですが、実際は自分自身が世の中を見ていない、見ようとしていないだけかもしれません。私の場合、普段から息子や娘とよく会話しますが、お金の使い方に対する感覚など、世間で言われるほど理解できないとは感じていません。無駄遣いするところは無駄遣いしているし、お金をかけるべきところも考えて絞っています。そうした話をもっと聞く機会を持つべきだと思います。

世代間のギャップといいますが、どれだけ聞き上手になれるかが問われています。テレビ取材でも同様で、世代が異なる場合、相手が話しやすい環境や適切な質問を投げかけるだけで緊張がほぐれ、いい雰囲気が生まれて取材がしやすくなります。私たちもそれなりに経験を積んできたわけですから、おおむね聞けばわかることが多いです。聞いてもわからないことは、実は少ないと思います。また、自分自身も、彼らから学ぶことが多いです。私たちが理解できないことも、彼らとの対話を通じて理解できる可能性があるからです。世代を超えて相手が話しやすい環境を整え、積極的にコミュニケーションを取ることが大切ですね。

(写真提供:テレビ東京)

[Profile]

大浜 平太郎(おおはま へいたろう)
テレビ東京報道局解説委員。1993年入社。1995年にWBSサブキャスター。1998年スタートの「トレンドたまご」で初代リポーター。その後も多くの企業取材を続け経済リポートの先駆者に。趣味はドライブと読書。

[担当番組]
 ニュースモーニングサテライト(テレビ東京 平日午前5時45分~)
 危機のカナリア(BSテレ東 土曜日午前7時~)
 報道配信番組「テレ東BIZ」絶賛配信中   https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/

[インタビューを終えて]

大濱さまとは同世代ということもあり、お話していると共感することが多いです。今回の世代を超えたコミュニケーションの重要性については今に始まったことではありませんが、スマホが便利になった現代において、顔を見合わせて会話するコミュニケーションの重要性を改めて認識させられました。「ひざ詰め」は大事ですよね。(落合)。