「見えない違い」を見える化する力
ハイパースペクトルカメラが拓く検査の未来

コニカミノルタ株式会社 剱持 雅則氏

 

「同じ白色に見えるプラスチックでも、素材が違えば波長の吸収特性も異なります」

そう語るのは、コニカミノルタの剱持雅則さん。目視やRGBカメラでは判別できない「違い」を、波長ごとの光の反応で見分けるハイパースペクトルカメラが今、製造現場に新しい検査基準として注目を集めている。色を測る技術を発展させ「人の目を超える」センシング企業へ。センシング技術で社会課題の解決に挑む姿に迫る(文:落合平八郎広報事務所)

 

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色を見るから、物質を見分ける技術へ


ディスプレイや自動車の塗装評価など、可視光による色彩計測を得意としてきたコニカミノルタ。だが近年、計測領域を赤外域にまで広げ、目に見えない違いを「見える化」する方向へと進化を遂げている。その一例が、同じに見える白いプラスチックを材質ごとに見分ける技術だ。「人の目や一般的なカメラでは見えない違いを、スペクトルで明確に識別できます」と剱持さんは語る。

「面」で捉えて見逃さない


この技術を支えるのが、2020年にグループ化したフィンランド・Specim社のハイパースペクトルカメラ。従来の分光器が点でしか捉えられなかったのに対し、ハイパースペクトルは面として一括取得できる。色ムラや異物の分布を、非破壊・非接触で定量的に検出可能だ。「研究用途だった大型機器を、産業用として工場のラインなど手軽に利用できる製品に落とし込めたのが大きな転機でした」と剱持さん。現在は可視光から近赤外・中赤外まで、幅広い波長に対応するラインナップが揃う。

感覚から定量へ、製造現場での実装進む


今回の展示では、EV電池の電極材を想定した材料の上に塗布されたスラリーの色ムラを検査するデモを実施予定である。肉眼ではわかりにくい微細なムラも、波長ごとの反射強度を分析することで数値や画像として可視化できる。「これまではなんとなく濃いとか少し薄いといった官能的評価に頼っていた工程が、定量的に評価できるようになります」と剱持さん。これは、品質向上や歩留まり改善、コスト削減に直結する。薄膜の均一性が求められるペロブスカイト太陽電池や半導体材料などへの応用も期待される。

SDGsに貢献する「見える化」の力


ハイパースペクトルカメラは、プラスチックの種類選別、食品や医薬品の異物混入検査など、安心・安全・環境の分野でも効果を発揮している。とりわけリサイクル分野では、同じ色に見えるプラスチック素材を素材ごとに見分けることで、より高度な選別と再資源化が可能となる。これは、ハイパースペクトル技術の導入初期から実績を積み重ねてきた領域でもある。「持続可能な社会の実現」を企業理念に掲げるコニカミノルタにとって、この技術は単なる製品ではなく、社会貢献の手段でもある。

 

展示会:高機能フィルム展[大阪]

ホームページ:https://www.konicaminolta.jp/instruments/