今回ご紹介するのは、石出孝氏(一般社団法人 日本溶接協会 3D積層造形技術委員会 副委員長)だ。前回のインタビューにご登場いただいた平田 好則氏とともに、本展併催「AM技術の進化と普及拡大に向けて」パネルディスカッションを企画し、自ら司会者も務める。溶接技術の進化である金属AMが切り拓く可能性を提唱する一方で、グローバルレベルの激しい開発競争のなかで今こそオールジャパンで取り組むべきだと警鐘を鳴らす。レーザー溶接の温度よりもハートが熱いもの静かな情熱家、石出孝氏に聞いた。(聞き手:落合平八郎)

金属AMでしかできない造形物があるそうですね

溶接技術の進化の延長上にある金属AMを活用することで、従来の切削加工では実現できないような造形物をつくるができる。たとえばエンジンの熱交換器であればチューブと塊のなかを流体が流れるようなものがまるでガウディのような形で非常に効率よく熱交換が実現できる。これは金属AMでしかできない。また、単に熱効率が上がるだけでなく、小型化で軽量化できるため航空機部品にはうってつけだ。すでにドローンなどにも搭載されている。単なる代替技術ではなく金属AMだからこそできるものが次々と出現している。ここにこそ、日本の活路があると考えている。

モノ作りが変わる

金属AMでは加工データがDX化されるため、デジタルツイン(現実の世界から収集したデータをコンピュータ上で再現する技術)に取り込みやすい。一方で、技術的な伝承が難しくなってくることを想定し、こうした熟練した技術をデジタル技術に取り組むか。これを使わない手はない。日本は世界的に見ても品質基準が高く、モノ作りがある意味で完成の域に達しているようにも思う。一方で海外では例えばロケットのボディを金属AMで作ってしまう事例がある。これは衝撃的だ。溶接部分は常に高い品質要求が求められるにも関わらず、あえて高いレベルでのモノ作りが求められるロケットの筐体を金属AMで作ってしまう。このチャレンジングな取り組みが海外では活発に行われている。

理想的なモノづくりへの実現へ

先日、海外の発表事例で大型船のスクリューが紹介されていた。熟練工による手作業ではできない難しい曲線を金属AMで実現していた。いまや、シミュレーションによる設計通りのものを造り出すことが可能になってきた。以前であれば、熟練工による加工の限界があった。これが、金属に限らず、セラミックやプラスチックでもやれる。いままであきらめていたことが、金属AMの技術を使うことで実現できる。我々としては、いまこそ日本のモノ作りの大きな転換期として捉えており、だからこそ、このパネルディスカッションを企画した。(つづきは次回へ)。了

本展では、石出氏(他、計22名)が登壇するセミナーを開催します

AM(3D積層造形技術)特別講演
2022年12月07日(水)|14:30 ~17:00|PHOTO-S

~ AM技術の進化と普及拡大に向けて ~

パネルディスカッション(登壇者 計22名)
企画:(一社)日本溶接協会

<登壇者>
(一社)日本溶接協会 3D積層造形技術委員会 委員長 平田 好則
(一社)日本溶接協会 3D積層造形技術委員会 副委員長 石出 孝
(株)NTTデータザムテクノロジーズ 酒井仁史/(株)IHI 永田佳彦/川崎重工業(株)渡邊健太郎/愛知産業(株)木寺正晃/森村商事(株)中室正晴/大同特殊鋼(株)山下正和/日揮グローバル(株)吉本直広/住友精密工業(株)ペトロビッチ マリオ/ダッソー・システムズ(株)梅崎敦/大陽日酸(株)山口祐典/OneAdditive(同)辻大輔/タマチ工業(株)米内淨…など計22名登壇!

本展へのご入場には招待券が必要です!お申込みはこちらから