高機能素材 Week
2025年11月12日(水)~14日(金)
幕張メッセ

【インタビュー】NISSHA(株) 産業資材事業部 事業戦略部 ecosense molding推進グループ グループ長 今井 宏樹氏

NISSHA(株)の歴史は、印刷から始まりました。(旧社名:日本写真印刷株式会社)現在は6つのコア技術(印刷、コーティング、ラミネーション、成形、パターンニング、金属加工)を活かし、医療機器、モビリティ、サステナブル資材、IT機器の分野で、製品・サービスをグローバルに提供しています。お客さまの多くは海外です。
サステナブル資材事業は、欧州をはじめ世界的に進められている持続可能な社会の実現を目指して、ecosense moldingのブランドで事業を展開しています。この度は、NISSHA(株) 産業資材事業部 事業戦略部 ecosense molding推進グループ グループ長 今井氏に、ecosense moldingについてお伺いしました。

【写真】ecosense moldingは、サステナブルな素材を用いたプラスチックに変わる成形品


1.ecosense moldingの特長

脱プラのニーズに応えるべく、成形技術とサステナブルな素材を掛け合わせた多様な工法を提案し、商品化をサポートしています。Pulp Series(紙・パルプを主原料)とBiocomposite Series(バイオマス+植物由来の生分解性樹脂)の2シリーズをラインナップしており、デザイン・設計から量産までお客さまのニーズに合わせたソリューションを提供しています。
ecosense moldingの中から一部を紹介します。Pulp SeriesのPaperFoam®は、パルプ・でんぷん・水などの植物由来の材料を主原料とした発泡成形工法です。低密度の柔らかい成形品を作ることができます

【写真】PaperFoam®は植物由来の材料を使用した発泡成形工法

Biocomposite SeriesのSulapac®は、ウッドチップ・廃材と植物由来の生分解性樹脂で構成されており、堆肥化を通じて自然に還ります。

【写真】Sulapac®を使用した生分解性容器

【プラ太郎】
技術と素材を掛け合わせて、色々な用途に合わせた工法を提案されていますね。

【今井氏】
Pulp Seriesは、パルプ、でんぷん、竹・サトウキビ繊維などの植物由来の素材を使用し、一方で、Biocomposite Seriesは、ウッドチップ、植物由来の生分解性樹脂を使用し、NISSHAで培ってきた成形技術や知見を活かした成形品になります。お客さまのニーズは、サステナブルと言っても様々であり、脱プラ、減プラ、リサイクル、生分解など、多様化しております。そのためニーズに合わせて、最適な工法を提案しています。
各工法においてデザインから量産まで一貫した対応が可能です。
パルプと多様な成形技術を掛け合わせることで、複雑な形状の再現、緩衝性の高い形状、複数パーツの組み合わせなど、プラスチックのように様々な成形品を作ることができます。

【プラ太郎】
紙や植物由来の素材は、柔らかな質感と温かみがありますね。

【今井氏】 植物由来の材料を主原料としていますので、プラスチックのような外観ではなく自然の風合いがあり、柔らかな質感と温かみを感じることが出来ます。また一見してサステナブルな製品と分かるため、お客さまから高評価を得ています。


2.ecosense moldingの導入事例

ecosense moldingは、主に、パッケージとして様々な業界で使用されています。産業機器・精密機器の梱包資材、化粧品のパッケージや容器、医薬品のトレー、ブリスターパックなど。サステナブルな素材を使用する目的は、脱プラ、減プラ、リサイクル、生分解など目的や用途によって様々です。

【写真】ecosense moldingの導入事例

【今井氏】

特に欧州の環境意識は高く、脱プラの流れは進んでいるように感じます。消費者は、商品の購買時にサステナブルな商品であることを意識していると思いますし、企業も販売する商品にサステナブルな素材を活用することに積極的です。実際にecosense moldingも、欧州で多数の採用実績があります。

【プラ太郎】
消費者の購買意識の違いは興味深いですね。今後日本も欧州に続いて、サステナブルへの関心度が高まっていきますね。

【今井氏】

欧州市場のニーズに応えるために、欧州市場で事業展開をしている日本のお客さまのお問合せも多くいただいています。また国内向けにも多くのお問い合わせをいただいており、国内の消費者の購買意識、お客さまの対応が大きく変わってきていると感じています。


3.ecosense moldingの今後の展開

NISSHA(株)では、世の中の脱プラニーズに応えるべく、中長期的な視点でecosense molding事業を展開し、グローバルにお客さまへ価値提案をしていきます。

【図】持続可能な社会の実現に向けた取り組み

【今井氏】
昨年には、ecosense moldingの開発・試作を推進するためのサステナブルテクノロジーセンター(滋賀県甲賀市)を設立しました。ここでecosense molding製品の改良・開発を通じて製品ラインナップの拡充に取り組んでいます。今後も持続可能な社会を実現するため、国内外問わず幅広いニーズに応える製品を提供していきます。

【プラ太郎】
この度は、ありがとうございました。

 

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