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熱交換器とは?
仕組みや用途、活用分野を紹介
熱交換器とは、効率良く熱を伝導させる機器で、様々な分野で活用されています。どのような仕組みで熱を伝導させるのか、具体的な用途や種類を挙げてわかりやすく紹介します。
また、熱交換器の導入により、エネルギー消費量を減らすことも可能です。生産コストを減らせるだけでなく、生産過程で生じるCO2(二酸化炭素)量を減らせるため、脱炭素化にもつながります。導入のメリットやデメリット、熱交換器を用いた環境問題対策の企業事例を知る方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
熱交換器とは
熱交換器とは、効率良く熱を伝導させる機器のことです。気体から気体、液体から液体、気体から液体など、様々な流体間で熱を伝導させます。
熱交換器の身近な例に、車のラジエーターや冷蔵庫・クーラーの冷却器などが挙げられます。また、クリーンルームや自動車の塗装ラインなどにも熱交換器は活用されています。
熱交換器の役割
モーターなどから発生した熱を短時間で冷却するなど、機械を安全かつスムーズに使う時に熱交換器は活躍します。また、作業時間の短縮や、排ガス・排水の有効活用にも熱交換器が使われます。
産業用ロボットや冷蔵庫などの長時間稼働させる機械には、熱交換器が欠かせません。多様な熱交換器の用途については後述します。
熱交換器の仕組み
熱は温度の高いところから低いところに移動する性質があります。熱交換器は、この熱本来の性質を用い、周りの水や空気などの流体を使用して、熱を効率良く移動させます。
江蘇三責新材料科技有限公司は、複数の耐腐食熱交換用炭化ケイ素セラミックス部品を展示します。
ほかにも最新のCO2排出量削減に関する製品や技術の情報を収集したい方には、燃料・製造プロセスから工場全体に至るまであらゆる脱炭素技術が一堂に集結する「素材工場の脱炭素化展」がおすすめです。
熱交換器の用途
熱交換器は様々な場面で使われています。主な用途としては、次のものが挙げられます。
熱交換器の主な用途
- 冷却・加熱
- 蒸発・気化
- 換気
- 気圧の一定化
冷却・加熱
冷却・加熱は、熱交換器本来の性質を活かした用途です。
例えば、水蒸気を凝縮して水に変えたり、屋外温度よりも高温の流体を放出し、物質の熱を冷却したりすることがあります。冷却・加熱用途の熱交換器は、冷凍機や食品製造、化学薬品製造などの場面で使われることが一般的です。
蒸発・気化
蒸気をさらに過熱して蒸発させる蒸発・気化も、熱交換器の用途です。気化の際に容積が大きくなる性質を利用して、蒸気タービンを回転させエネルギーに変換します。
例えば、原子炉では、発生する熱を一時冷却する循環水を用いて二次冷却用の水を沸騰させ、高温・高圧の蒸気を発生させます。この蒸気によりタービンを回転させ、エネルギーを再利用します。
換気
熱移動の際に空気が動きます。この動きを利用して、熱や湿気の排出などの換気を実施することがあります。
適度に熱や湿気を排出すれば、燃料の消費負荷を抑え、生産過程で用いるエネルギー消費量の削減が可能です。脱炭素化を実現でき、地球温暖化対策にもつながります。なお、換気に用いる熱交換器には、次の2種類があります。
換気用途の熱交換器 |
換気の仕組み |
全熱交換器 |
排熱と同時に湿気を外気に排出。外気と内部に取り込む |
顕熱交換機 |
湿気を適時排出。内外の音頭を一定に保つ |
気圧の一定化
電子機器や液晶パネルなどの精密機器の製作過程では、ホコリが内部に入らないように気圧を一定にコントロールする必要があります。熱交換器で気圧差を生じさせ、余計なものが製品に付着しないように調整します。
熱交換器の種類
熱交換器の主な種類には、次のものが挙げられます。
- 多管式熱交換器(シェル&チューブ熱交換器)
- プレート式熱交換器
- フィンチューブ型熱交換器(空冷式熱交換器)
それぞれの用途を紹介します。
多管式熱交換器(シェル&チューブ熱交換器)
多管式熱交換器は、液体から液体への熱交換に用いられる機器です。シェル&チューブ熱交換器と呼ばれることもあります。熱を伝導する液体が入ったチューブが複数あり、広範囲の熱を短時間で加熱・冷却します。
また、冷却や加熱だけでなく、蒸発・凝縮にも活用されることがあります。多管式熱交換器は設置場所の制限が少なく、ランニングコストやメンテナンスコストが低い点が特徴です。ただし、機器自体が大きいため、相応のスペースが必要です。
プレート式熱交換器
プレート式熱交換器は、板状の機器です。熱交換効率が良く、わずかな温度差も有効活用できます。銅のプレートを用いることが一般的ですが、医薬品や精密機器の製造現場のようにクリーン仕様が求められる時にはステンレスやニッケルが用いられます。
熱交換器のなかでもサイズが小さく、設置場所を選ばない点が特徴です。しかし、多管式熱交換器のように分解してメンテナンスができないため、定期的な交換が必要になることがあります。
フィンチューブ型熱交換器(空冷式熱交換器)
フィンチューブ型熱交換器とは、伝熱管に伝熱板を直接取り付けるタイプの機器です。空冷式熱交換器とも呼ばれます。
周囲の空気と電源さえあれば設置可能なため、利用の幅が広い点が特徴です。ただし、機器自体のサイズが大きく、設置場所が限られることがあります。
その他の熱交換器
伝熱管や伝熱板の形状、素材によって、コイル式やうずまき式、非金属熱交換器などの熱交換器があります。いずれも熱交換できる状態(気体から気体、液体から気体など)の向き不向きがあるため、特性にあわせた選択・導入が必要です。
脱炭素化に取り組むために熱交換器の導入を検討している方には、燃料・製造プロセスから工場全体に至るまで、あらゆる脱炭素技術が一堂に集結する「素材工場の脱炭素化展」がおすすめです。熱交換器の技術・製品も数多く展示されるため、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
熱交換器のメリット・デメリット
熱交換器にはメリットが多くありますが、注意すべき点もいくつかあります。導入前に検討したいメリットとデメリットを紹介します。
熱交換器のメリット
熱交換器を導入すると、回転や摩擦などの熱が発生する作業をしても室温には影響を及ぼしにくくなります。周辺機器や熱交換器そのものに変性が起こりにくく、長期的かつ安全に使用できるようになります。
効率良く熱交換が進むことで、生産過程のエネルギー消費量を削減できる点もメリットです。電気使用量を減らして生産コストを抑えられるだけでなく、脱炭素化の実現にもつながります。
また、熱交換器の導入により、発生したエネルギーの有効活用が可能です。大気中に放出されるCO2やメタンガスなどを削減でき、さらなる脱炭素化につながります。
パリ協定を機に、多くの企業で気候変動に対応した経営戦略を立てたり、脱炭素に向けた目標を設定したりといった動きが見られるようになりました。これらの「脱炭素経営」に取り組むことは、企業イメージを向上させるだけでなく、ESG投資の潮流にもあい、企業価値の向上も期待できます。
熱交換器のデメリット
熱交換器により周辺機器にトラブルが生じると、熱交換器の本体価格よりも高額な損害が生じることがあります。また、ライン停止によって生産計画に影響が生じる可能性もあります。
設置や修理に高額の費用がかかるのもデメリットです。導入する時は、初期コストだけでなく、メンテナンスコストも試算しておきましょう。
熱交換器の今を知る「素材工場の脱炭素化展」へ
RX Japanが主催する展示会「素材工場の脱炭素化展」では、熱交換器の技術・製品や脱炭素化技術が数多く展示されます。熱交換器の導入は、生産コストを抑えられるだけでなく、生産過程で生じるCO2量削減のためにも役立ちます。熱交換器の導入を検討している方は、「素材工場の脱炭素化展」にご来場の上、情報を収集してはいかがでしょうか。
なお、当展示会は、鉄鋼、化学、窯業・セメント、紙・パルプ、非鉄金属などの素材工場の脱炭素化に特化した専門展です。燃料・製造プロセスから工場全体に至るまであらゆる脱炭素技術が一堂に集結します。
下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。
開催地域 |
開催場所 |
日程 |
東京 |
幕張メッセ |
2024年10月29日(火)~31日(木) |
大阪 |
インテックス大阪 |
2025年5月14日(水)~16日(金) |
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まとめ
熱交換器は、効率良く加熱や冷却、気化などを実現するシステムです。クーラーや自動車などの身近な機器だけでなく、素材工場や精密機器工場などで幅広く活用されています。
また、熱交換器により省エネルギーを実現できるのも魅力です。使用電力量を抑えて生産コストを削減できるだけでなく、排出するCO2量も削減でき、地球温暖化対策にもつながります。ぜひ他社の利用方法も参考にし、地球環境にやさしい企業を目指しましょう。
「素材工場の脱炭素化展」詳細はこちら
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【監修者情報】
▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)
肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授
プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクルなど幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入と併せて分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他