▼この記事をシェアする
全固体電池向け材料を初出展
DOWAエレクトロニクス株式会社の研究開発部門が、開発品である全固体電池向け材料などを初披露する。電子材料、半導体材料、機能材料の分野で高度な技術を提供する同社は、薄膜技術、高純度技術、結晶技術、粉体技術を活かし、半導体や磁性材料、電池、導電機能を有する材料を幅広く供給している。全固体電池は、EV(電気自動車)の課題とされる走行距離の短さを克服できる可能性があり、その開発動向に注目が集まっている。同社はEV用途のほか、電子機器など幅広い業種や用途の研究者向けに提案すべく、本展示会に出展する。
二次電池向けコート材料
同社が開発した「二次電池向けコート材料」は、全固体電池の正極活物質に対して均一で極めて薄い被覆層を形成できることが特徴である。被覆層は電解質から活物質を保護し、劣化を抑制することで、電池抵抗の低減や電池寿命を大幅に向上させる技術である。非危険物として提供されるため、防爆対策や安全対策が不要であり、コスト面での利点がある。
固体電解質の各種提案
二次電池向け材料として提案される「NASICON型固体電解質」は、非常に高いイオン伝導率を持つ酸化物系全固体リチウムイオン電池向けの材料である。結晶質タイプと非晶質タイプの両方を提供可能で、特にNASICON型としてトップクラスの導電率を実現している。組成の均一性が高く、DOWA独自の製法がその優位性を支えている。
また、ガーネット型固体電解質(LLZ)は、産業技術総合研究所との共同開発により、従来は1000℃以上の高温であった焼結温度を約600℃の低温で実現できる画期的な技術である。この技術により他の材料の劣化を抑制した電池の製造プロセスが実現され、同時に優れたイオン伝導性を発揮することが可能となっている。
DOWAエコシステムと共同出展
同社担当者は「グループ会社であるDOWAエコシステム株式会社と共同出展しており、そこでは環境・リサイクル事業について展示している。モノづくりの上流と下流工程の両方において、様々な企業における課題の解決に貢献していきたい」と抱負を語る。(文・落合平八郎広報事務所)
【会社概要】
会社名:DOWAエレクトロニクス株式会社
代表者:代表取締役社長 鈴木 健彦
設立年:2006年5月(同和鉱業株式会社より分社)
業務内容:電子材料事業その他これに関する事業
ホームページ:https://www.dowa-electronics.co.jp/
開発したコート液は防爆対策など必要がなく。活物質に均一に被覆できる。電解質から保護して劣化反応を抑制する
開発した高イオン伝導度の固体電解質(LAGP)では、イオン導電率が1.0×10-4S/cm台であり、NASICON型ではトップレベル
技術者たちがサンプル品を前に、製品改良のアイデアを真剣に議論している