高機能素材 Week
2025年11月12日(水)~14日(金)
幕張メッセ

浅田化学工業株式会社は、海洋汚染問題に対応するためにマイクロプラスチックの代替素材として新開発した「多孔質アルミナ(γ-アルミナ)」を初出展する。同社はアルミニウム凝集剤のパイオニアとして知られ、長年にわたる研究開発の成果として今回の展示を行う。環境負荷を軽減する素材として、エシカル志向が強まる化粧品業界への訴求を強化しており、今回の展示会を通じて本格的な販売展開に乗り出す。

マイクロプラスチック代替素材としての役割

従来、化粧品の下地剤やスクラブ剤にはマイクロプラスチックが多用されてきたが、その微細なプラスチック粒子は分解されずに海洋に蓄積し、生態系に悪影響を及ぼしている。これに対応するため、シリカなどの天然由来の素材が代替として注目されているが、粒子の均一性やクレンジング効果など、性能面での課題が残っている。この課題を解決するため、社は高機能な多孔質アルミナを開発し、より均一で高性能な代替素材の提供を目指している。

「多孔質アルミナ」の特長と応用範囲

新開発の多孔質アルミナは、比表面積が非常に高く、優れた吸油性を持つ。この特性により、化粧品の下地剤として皮脂を吸収し、メイクの持続性を高める効果が期待される。さらに、同社の高度な製造技術により、粒子サイズの制御が可能で、製品の均一性が保たれている。昨年から化粧品メーカーへのサンプル提供を開始しており、高評価を得ていることから、今回の展示会を契機にさらなる市場拡大が期待される。

環境への貢献と今後の展望

浅田化学工業は、マイクロプラスチックの代替として「多孔質アルミナ」を活用することで、SDGs目標14「海洋資源の保全」に貢献することを目指している。同社担当者の尾崎さんは「環境に優れた高機能素材として、多孔質アルミナはさまざまな業界での応用が期待される。今後は国内外の市場で、環境問題解決に寄与する製品としての需要が高まる」と語っており、今後のグローバル展開にも意欲を示している。(文・写真:落合平八郎広報事務所)


【会社概要】

会社名:浅田化学工業株式会社
代表者:代表取締役社長 堂込 孝志
設立年:1917年12年
業務内容:水処理用凝集剤(硫酸アルミニウム・ポリ塩化アルミニウムなど)、高分子凝集剤、不飽和酸金属塩モノマーなどの製造販売
ホームページ:https://www.asada-ch.co.jp/


多孔質アルミナをFE-SEMで表面観察。約10nmの細孔があり、かつ数十nmのアルミナ粒子の集合体で構成されていることが判明

1917年に創業して以来、国内アルミニウム系凝集剤のパイオニアとして事業を展開。以来、お客さまのご希望に沿った製品開発に注力している

確かな技術と信頼で地球環境の浄化を目指し、さらなる期待にも対応する製品開発が続く