高機能素材 Week
2025年11月12日(水)~14日(金)
幕張メッセ

神島化学工業株式会社は、1917年に肥料製造で創業し、その技術を活かして化成品事業を展開してきた。炭酸マグネシウム酸化マグネシウムの製造を経て、高度経済成長期には住宅需要の高まりに応じ、不燃建材のけい酸カルシウム板の製造に着手した。さらに、セラミックス製造に取り組み、99.9%を超える高純度材料や独自の透明化技術を駆使して、世界で唯一のセラミックス製品を提供している。

独自のYAGセラミックス

今回の展示会では、神島化学工業のYAGセラミックスが展示される。このセラミックスは、レーザー核融合、産業、医療、防衛などの多様な分野で高出力レーザー共振器として採用されており、同社の独自技術により透明性と高い機能性を実現している。従来の単結晶では実現が難しかった大型サイズや自由形状、任意のドーパント濃度への対応が可能であり、さらに光学ガラスの10倍以上の熱伝導率を有しているため、放熱板などの用途でも期待されている。展示ブースではこれらの製品サンプルを手に取って確認することができる。

特長的な独自技術

同社のYAGセラミックスは、光の散乱を極限まで抑えることで、セラミックスでありながら透明性を持つという独自の特長がある。これは、長年にわたって培われた高純度材料のハンドリング技術と緻密焼結技術により実現されている。安定した品質を高い再現性で提供し、大型サイズや自由形状、異なるドーパントのYAGセラミックスの接合、賦活剤の追加など、カスタム対応も可能である。これにより、産業、医療、研究分野など、多様な領域で高い信頼を獲得している。

「核融合」のキーワードで話題に

近年、持続可能でクリーンなエネルギー技術として「核融合」が注目を集めている。同社のYAGセラミックスは、特にレーザー核融合分野において重要な役割を果たしており、セラミックス特有の耐熱性と高い熱伝導性に加え、独自の透明化技術により、核融合実験において高出力レーザー共振器として検討されている。また、同社の草間さんは「高い熱伝導率を活かし、透明が必要な分野等その他の使用用途として活用できないか幅広い分野のお客様に見て頂きたい」と期待している。(文・落合平八郎広報事務所)


【会社概要】

会社名:神島化学工業株式会社
代表者:代表取締役会長 池田 和夫、代表取締役社長 布川 明
設立年:1917年6月
業務内容:建材事業、化成品事業、セラミックス事業
ホームページ:https://www.konoshima.co.jp/ceramics/index.html

 


「慣性核融合発電システム」のレーザー共振器として検討されている同社の「高出力レーザー用接合YAGセラミックス」。

99.9%以上の高純度化により、酸・アルカリやプラズマへの耐食性に優れ、次世代パワーデバイス基板であるGaN単結晶の育成に貢献

さまざまな用途で活用できないか、社内で白熱した議論が行われている