サーマルリサイクルとは？素材業界向けにメリットや課題、法的な位置づけを徹底解説！

サーマルリサイクルとは、廃棄物を焼却して熱エネルギーを回収し、発電や暖房・温水供給などに利用するリサイクル方法です。

助燃剤として廃棄物を利用する場合も、サーマルリサイクルに含まれます（製紙会社やセメントメーカーなどで実施）。技術的に再資源化が困難な廃棄物や、選別コストが膨大で再資源化を実施することが著しく不経済な廃棄物に対して選択される手法です。

リサイクル方法としては、サーマルリサイクルの他に、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといった手法も存在します。なお、日本ではサーマルリサイクルがリサイクルのカテゴリーに含まれますが、欧州では「エネルギーリカバリー」と呼称する場合があるのでご注意ください。

マテリアルリサイクルとは、回収した廃棄物をそのまま原材料として利用する手法です。具体例としては、プラスチックを回収し、コンテナや公園のベンチ、フェンスなどに加工されるケースが挙げられます。

再利用の過程で異物が混入し、マテリアルリサイクルを重ねると品質が劣化するため、用途が限定される点にご留意ください。多くの製品は複数の素材で構成されており、分離しにくいことも課題です。

ケミカルリサイクルとは、化学反応によって化学製品の原料を作る手法で、使用済みプラスチックをオイルやアルコール、ガスに変換し、再びプラスチックを生産するケースが具体例として挙げられます。

化石原料（石油）ではなく、廃棄物（使用済みプラスチックなど）を用いるため、カーボンニュートラルの実現に役立つでしょう。

化学産業はあらゆる産業に素材を提供しているため、ケミカルリサイクルの推進が重要とされています。なお、マテリアルリサイクルでは対応できない廃棄物であっても、ケミカルリサイクルなら化学的に分解し、原料に再生可能な場合があります。また、品質劣化の問題も生じません。

「リサイクルテック ジャパン」では、リサイクルに関する技術・支援サービスが一堂に集結します。サーマルリサイクルに関する技術・支援サービスも出展されるので、サーマルリサイクル関連の技術・支援サービスを開発・提供する企業の方におすすめです。

以下は、サーマルリサイクルのメリットです。

• プラスチックなどを燃焼させることでエネルギーを回収・利用可能
• 廃棄物埋立処分場のスぺースを節約できる

各メリットに関して詳しく説明します。

上述したように、マテリアルリサイクルを繰り返すと劣化し、品質が低下します。品質が低下した廃棄物（プラスチックなど）は、それ以上、マテリアルリサイクルに適しません。

また、そもそも再資源化が困難な廃棄物も多く存在します。選別作業に多大な手間がかかり、再資源化すると不経済なケースもあります。

しかし、サーマルリサイクルは廃棄物を燃焼させ、エネルギーを回収し、暖房・温水プールの熱源などとして利用可能です。プラスチックは発熱量が大きく、石炭・石油にも劣らないため、サーマルリサイクルに適しています。

単にゴミとして燃焼させるのではなく、エネルギーを回収・有効利用すれば、石炭・石油の消費量が削減され、脱炭素化の実現に役立つでしょう。

廃棄物を燃やさず、埋め立て処分を実施する場合は、土地を確保する必要があります。ただし、処分場に適した土地が無限に存在するわけではありません。サーマルリサイクルによって焼却すれば、廃棄物の体積が減り、貴重な埋立地のスペースを節約可能です。

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サーマルリサイクルは万能ではなく、燃焼によってCO2が発生することが課題・問題点として挙げられます。課題を克服するために、バイオマスプラスチックの活用やマスバランス方式の採用も選択肢として検討しましょう。

以下、サーマルリサイクルの課題・問題点および解決策に関して詳しく説明します。

サーマルリサイクルは、石炭などの代替燃料として廃棄物を再利用するリサイクル方法であり、焼却時の熱エネルギーが有効活用されます。

実施しない場合に比べるとトータルではCO2排出量が減少しますが、燃焼の際に一定量のCO2が排出されることも事実です。単にゴミとして燃やす場合に比べれば有意義ではあるものの、サーマルリサイクルのみに頼る姿勢は望ましくありません。

後述するように、日本では「循環型社会形成推進基本法」によって廃棄物の取り扱いに関する優先順位が定められており、サーマルリサイクルよりもマテリアルリサイクルなどを優先する必要があります。

上述したように、サーマルリサイクルでは、エネルギーを回収・有効利用できる点がメリットであるものの、CO2が排出される点が課題です。加えて焼却時に発生する排ガス処理などに対応する必要もあります。課題を克服するために、バイオマスプラスチックの活用およびマスバランス方式の採用を検討しましょう。

バイオマスプラスチックとは、動植物に由来する再生可能な有機資源（バイオマス）を原料として製造されるプラスチックです。バイオマス素材に含まれる炭素は、大気中のCO2が固定化されたものなので、焼却しても大気中のCO2量が増加しません。そのため、サーマルリサイクルなどで焼却された場合でも、カーボンニュートラルを実現できます。

マスバランス方式（マスバランスアプローチ）とは、ある特性を有する原料（例えば、バイオマス原料）の投入量に応じて、製品に特性を割り当てる手法です。

例えば、バイオマス由来原料と石油由来原料を半分ずつ用いて製品を4つ製造し、マスバランス方式を採用するケースを想定しましょう。このケースでは、投入量に応じて2個が「石油由来原料を用いた製品」、残りの2個が「バイオマス由来原料を用いた製品」として割り当てられます。

このように、原料から製品への加工・流通過程で、ある特性を持った原料を、それ以外の原料と混合する場合に、マスバランス方式が採用されることがあります。

「リサイクルテック ジャパン」は、リサイクルに関する技術・支援サービスが一堂に集結する展示会です。サーマルリサイクルに関する技術・支援サービスも出展されるので、サーマルリサイクル関連の技術・支援サービスを開発・提供する企業の方におすすめです。

以下は、リサイクルの基本ルールである「循環型社会形成推進基本法」によって定められている廃棄物を取り扱う方法の優先順位です。

1. 発生抑制（リデュース）
2. 再使用（リユース）
3. 再生利用（マテリアルリサイクルなど）
4. 熱回収（サーマルリサイクル）
5. 適正処分

サーマルリサイクルに取り組んでいる方は、技術に加えて、法制度に関しても正確に把握しておきましょう。

RX Japanが主催する展示会「リサイクルテック ジャパン（リサイクルの技術革新・エコシステム構築展）」では、サーマルリサイクル関連の技術・支援サービスが多数出展されます。

サーマルリサイクル関連の技術・支援サービスを開発・提供する企業にとっても有益な展示会です。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。

廃棄物は、単にゴミとして燃やすのではなく、サーマルリサイクルを実施してエネルギーを回収・有効利用するべきです。近年、カーボンニュートラルを達成するために、リサイクルが本格的に見直されています。サーマルリサイクルを推進し、メーカーや物流業者、小売業者、産業廃棄物処理事業者、自治体など、多種多様なパートナーとのエコシステムを実現しましょう。

「リサイクルテック ジャパン」では、サーマルリサイクルに関する技術・支援サービスが多数出展されるので、ご来場の上、情報収集にお役立てください。サーマルリサイクルに関する技術・支援サービスを開発・提供している企業の場合は、ぜひ出展をご検討ください。