「資源循環に取り組む方と出会えるリサイクルテック ジャパンに」
独自の技術と思いが生んだDOWAエコシステムのリサイクル
2025年5月に大阪展が開かれ、11月には幕張メッセでの東京展が開催予定の展示会「リサイクルテック ジャパン」。
今回は、出展社であるDOWAエコシステム株式会社の代表取締役社長・矢内康晴氏に、同社のリサイクル事業についてうかがう。資源循環を実現に導く、DOWAグループの技術と思いとは。
かつての「黒鉱」の製錬がリサイクル事業での強固な基盤に
DOWAエコシステムは、金属の製錬や加工などを行うDOWAグループの中で、環境・リサイクル事業を担う企業だ。持株会社であるDOWAホールディングスの創業は1884年。秋田県の小坂鉱山が、政府から現在のDOWAホールディングスへ払い下げられた年である。
この創業が、DOWAエコシステムの環境・リサイクル事業とも深く関係する。
「小坂鉱山は元々銀山でしたが、銀鉱石が枯渇し、『黒鉱(くろこう)』と呼ばれる鉱石が残りました。黒鉱は金や銀などの有価金属の他、不純物も多く含む、製錬が難しい複雑硫化鉱です。DOWAは黒鉱の完全分離回収に取り組み、独自の製錬技術を生み出したのです。
現在、DOWAグループは20種類を超える金属をリサイクルできますが、これを可能にしているのは小坂で生み出された技術です。小坂鉱山は閉山しましたが、小坂にある製錬所は使用済み廃基板などのリサイクル原料100%で操業しており、私たちがリサイクルを行う現場として重要な拠点であり続けています」(矢内氏。以下、断りない限り同)
DOWAエコシステムは、リサイクルする原料を社会から回収する役割を担う。太陽光パネルやリチウムイオン電池からの金属リサイクル、家電や自動車シュレッダーダスト(ASR)からの金属、プラスチックリサイクル、使用済み食用油からのバイオディーゼル燃料製造、廃棄食品を使ったバイオマス発電、バイオマス固形燃料の製造、そして、産業廃棄物の適正処理なども幅広く行う。
【写真】リチウムイオン電池を熱処理するための加熱炉 詳細はこちら
「他にも、家庭から排出される一般廃棄物を焼却した後の灰を利用した事業を展開しています。溶融処理を通じて、灰に微量に含まれる金属を回収する他、天然石と同等な性状を持つ溶融スラグを製造し、土木資材としても活用しています。また、汚染された土壌の浄化や環境コンサルティングを行っています」
最近のDOWAエコシステムの大きなニュースとして、熊本事業所の開設がある。熊本県宇城市に8月下旬、竣工し、10月以降に順次、稼働が始まっている。
【写真】DOWAエコシステムの熊本事業所
「熊本にはかねてより、水俣市に使用済み家電のリサイクルを行うグループ企業が存在しています。ここでの非鉄金属やプラスチックのリサイクルをさらに高度化していくとの考えが、事業所新設の発端にありました。
一方、今後、さらに需要が高まりそうなリサイクルの分野として、太陽光パネルがあります。さらに、熊本といえば多くの半導体産業が進出しています。さまざまな産業界からのリサイクルニーズへの展開も見据えた、事業所の新設となります」
資源をめぐらせるというグループ全体の思い
実際に導入されている事例を質問すると、矢内氏はこう答える。
「DOWAグループは、以前から村田製作所と取引がありました。
この度、新たな取り組みとして、村田製作所の工程廃棄品をDOWAグループで回収し、DOWAグループが製品に再生し、村田製作所にお戻しする取り組みを始めました。工程廃棄品というのは、製造工程で生じる端材などです。引き取った工程廃棄品は、小坂製錬(前出の小坂の製錬所にてリサイクル製錬を行うDOWAグループの企業)で金属素材に再生され、さらに、DOWAエレクトロニクスで製品として生まれ変わり、村田製作所へ戻ります。2025年、DOWAグループと村田製作所の間で資源を循環させる仕組みを共同で構築したことが評価され、DOWAエレクトロニクスが村田製作所からサプライヤー表彰をいただきました」
このようにユーザーが納得感や共感、安心感を得られるリサイクルの背景には、DOWAグループ全体で資源を守っていこうとする姿勢があるようだ。
「DOWAグループは2023年、タグライン(企業のコンセプト・価値を表す短いメッセージ)を『資源がめぐる真ん中に。』に定めました。素材をつくるだけでなく、廃棄物の処理からリサイクルまで資源の循環全体が、DOWAグループの事業だと示すものです。
とりわけリサイクルを事業とするDOWAエコシステムとしては、『地球から資源を掘り出すのではなく、すでに採掘した資源を繰り返し利用していくことが重要だ』との思いがあります。やはり資源は限りあるものですし、新たに採掘するにもエネルギーが必要です。
リサイクルには技術的、コスト的な課題が存在します。しかし、黒鉱の製錬技術をリサイクルに生かしたという例があるように、これまでも課題を乗り越えてきました。今後も課題解決をしつつ、資源をめぐらせるという考え方を大切にしていきたいです。具体的には、より高い回収率を目指すなどに取り組んでいきます」
11月のリサイクルテック ジャパンに対しても、「資源循環を一緒に構築できるパートナーと知り合えれば」との思いを持っていると、矢内氏は述べた。
リサイクルテック ジャパンには、リサイクル機械・設備、再生材料、リサイクラー、コンサルタント、DX技術などが出展し、同じようにリサイクルへの志を持った企業や団体が集結する。併催するセミナーでは、「資源循環の最前線」や「Car to Carの取り組み」「プラスチック、電池、太陽光パネルのリサイクル」「ケミカルリサイクルの社会実装」など多数の講演が無料で聴講できる。リサイクルの技術革新を促進するとともに、材料メーカー、物流、小売、リサイクラー、産廃事業者、自治体など様々なパートナーとの絶好の出会いの場となる「リサイクルテック ジャパン」へ、ぜひ来場・出展をご検討いただきたい。
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