プラスチックリサイクルとは?
再利用の3つの手法や企業としてのメリットを紹介
資源の有効利用による循環型経済社会の実現、CO2(二酸化炭素)削減による脱炭素社会の実現などのために、プラスチックリサイクルが注目されています。企業としてのプラスチックリサイクルは、環境負荷の低減だけでなく、企業イメージの向上やコスト削減にもつながります。
本記事では、プラスチックリサイクルの3つの手法や、企業としてプラスチックリサイクルに取り組むメリットを紹介します。
そもそもプラスチックリサイクルとは
プラスチックのリサイクルの方法は大きく分けて、プラスチックを新たなプラスチック、化学原料、エネルギーとして再利用する3つに区分されます。プラスチックとしての再利用だけでなく、化学原料やエネルギーとしての再利用もリサイクルに含まれます。
プラスチックとして再利用される場合、用途の一例としては、食品用のトレイ、洗剤用のボトル、公園のベンチや遊具、住宅、道路、土木に関わる用品などが挙げられます。普段利用しているプラスチックにも、リサイクルされたプラスチックが含まれています。
その他、化学原料としてリサイクルされることもあり、プラスチックの一部は、原料・モノマー化技術、高炉原料化技術、コークス炉化学原料として再利用されたりします。
日本のプラスチックリサイクルの現状
一般社団法人 プラスチック循環利用協会「2022年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」によると、プラスチックの有効利用率(リサイクルされるプラスチックの割合)は87%です。
有効利用率で見ると、日本のプラスチックリサイクルは高い水準にあります。
ただし注意したいのが、エネルギーとして活用されるサーマルリサイクルが7割以上を占めている点です。サーマルリサイクルは、プラスチックを焼却した時の熱を再利用したり、発電に利用する方法です。
サーマルリサイクルは資源としての再利用ではないため、国際的にはリサイクルとは認められていません。日本のプラスチックリサイクルでは、資源として再利用するマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの割合の低さが課題です。
プラスチックリサイクルの3つの手法
プラスチックリサイクルには、以下の3つの手法があります。
- マテリアルリサイクル(プラスチックのまま再利用)
- ケミカルリサイクル(化学原料として再利用)
- サーマルリサイクル(燃焼の熱を再利用)
それぞれの手法を、以下で詳しく見ていきましょう。
マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルは、プラスチックをプラスチックのまま再利用して、新しいプラスチックをつくる方法です。
マテリアルリサイクルにおいては、一般家庭や事業所から回収したプラスチックから、異物除去して同種のプラスチックごとに選別されたのちに、粉砕、洗浄、乾燥などの工程を経て、フレークやペレットなどのプラスチック原料となります。
「フレーク」は、粉砕、洗浄、乾燥後に細かい破片にしたプラスチックの原料となるもので、さらにフレークを溶かして粒状に加工したものが「ペレット」です。
マテリアルリサイクルは、焼却処理をしないためCO2排出量が少なく、埋め立て処分量も少なく済むメリットがある反面、異物除去や洗浄などにコストがかかります。
マテリアルリサイクルは、コスト面や設備自体が少ないことが理由で、日本では普及があまり進んでいません。
なお、企業のマテリアルリサイクル関連の開発・技術の例は以下が挙げられます(高機能素材Week出展製品より)。
製品 |
概要 |
日本ポリマー産業 株式会社 リサイクルPPA/炭素繊維コンパウンドペレット |
マテリアルリサイクルされた芳香族PAとプレコンシューマ―CFのコンパウンドペレットを開発 |
株式会社 クラレ 環境配慮型「マジックテープ」 |
バックコートを使用しないポリエステル100%の面ファスナー。マテリアルリサイクルが可能なため、リサイクル時の切除が不要 |
大阪ガスケミカル 株式会社 フルオレンセルロースファイバー造粒品 |
樹脂やゴムへ良好に分散し、高い補強性を示す、フルオレンセルロースファイバーの造粒品で、マテリアルリサイクルが可能 |
ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルは、プラスチックに化学的な処理をして、原料である炭化水素やガスに分解して再利用するリサイクル方法です。
ケミカルリサイクルの手法としては、原料・モノマー化技術、高炉原料化技術、コークス炉化学原料化技術などが挙げられます。
リサイクルの手法 |
概要 |
原料・モノマー化技術 |
プラスチックを原料やモノマーまで戻して再利用する技術。回収したペットボトルを新たなペットボトルとしてリサイクルするのに使われている |
高炉原料化技術 |
プラスチックをコークスの代わりに還元剤として製鉄所の高炉で利用 |
コークス炉化学原料化技術 |
プラスチックを無酸素状態で蒸し焼きにして、コークス、炭化水素湯、コークス炉ガスとして再利用する技術 |
ケミカルリサイクルは、設備投資や運搬費用などに大きなコストがかかり、日本での割合はマテリアルリサイクル以上に普及が進んでいない状況です。
企業のケミカルリサイクル関連の開発・技術の事例としては、以下が挙げられます(高機能素材Week出展製品より)。
サーマルリサイクル
プラスチックからプラスチックを燃やした時に発生する熱を活用するリサイクル方法です。プラスチックは紙ごみの2~3倍の発熱量があり、その熱エネルギーは発電、温水プールなどに利用されます。
分別にかかるコストが少ないことがメリットであり、前述のとおり日本のプラスチックリサイクルはサーマルリサイクルが大半を占めています。
企業がプラスチックリサイクルをするメリット
企業がプラスチックリサイクルをするメリットを見ていきましょう。環境負荷の低減だけでなく、コスト削減や企業イメージの向上もメリットとして挙げられます。
環境負荷の低減
マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルでは、プラスチックが新たな製品や原料に再利用されるため、天然資源の節約が可能です。ゼロからプラスチックなどを製造する場合と比べてCO2排出量も削減できます。
また、プラスチックのリサイクルで、埋め立て処分されるプラスチックの量も削減でき、その点でも環境負荷を低減できます。
なお、リサイクル技術の社会実装を目指すなら「リサイクルテック ジャパン」へ出展されることもおすすめです。リサイクルテック ジャパンは、様々なパートナーとのエコシステム実現に向けたリサイクル技術の展示会です。展示会では大手材料メーカーやリサイクル材料メーカーとの商談を行うことができます。
コスト削減
プラスチックをリサイクルにより、廃棄処理のためのコスト削減が可能です。また、リサイクルにより原料調達が少なく済み、費用が削減可能になることがあります。
企業イメージの向上
リサイクルへの取り組みは、環境保全に積極的に取り組む姿勢として対外的に評価され得る要素です。プラスチックのリサイクルに取り組む企業イメージが、顧客や取引先、投資家からの信頼につながる可能性があります。
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リサイクルテック ジャパンは、リサイクルの技術革新、材料、メーカー、物流、小売、産廃事業者、自治体など様々なパートナーとのエコシステムの実現に向けた展示会です。
展示会には、大手化学、金属リサイクル材料、CFRPリサイクル材料、プラスチックリサイクル材料、鉄スクラップリサイクルなどの分野のリサイクル材料メーカーや大手材料メーカーが来場します。
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まとめ
プラスチックのリサイクルとは、プラスチックを新たなプラスチック、化学原料、エネルギーとして再利用することです。リサイクルの種類としては、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3種類があります。
企業としてのプラスチックリサイクルは、環境負荷の低減、コスト削減、企業イメージの向上などにつながります。ぜひプラスチックリサイクルの基本を理解して、環境負荷の低減に向けた取り組みに役立てていきましょう。