ゼロエミッションとは?意味や注目される理由、企業などの取り組み事例を紹介

素材業界で廃棄物に関連する業務を担当している方は、「ゼロエミッション」という単語を見聞きした経験があるでしょう。しかし、「単語の意味を正確に理解できていない」「具体的に、どのように取り組むべきなのだろうか」などとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ゼロエミッションの意味や注目されている理由・背景事情を詳しく解説し、国や自治体・企業の取り組み事例も紹介します。素材業界でゼロエミッションに関する業務に携わっている方やこれから携わる予定の方は、ぜひ参考にしてください。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<大阪展>会期:2025年5月14日(水)~16日(金)会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2025年11月12日(水)~14日(金)会場:幕張メッセ      

ゼロエミッションの意味・目的


ゼロエミッション(Zero Emissions)とは、環境負荷の低減を目的として、1994年に国連大学が「ゼロエミッション研究構想」で提唱した概念です。

狭義では、「排出物(温室効果ガスなども含む、環境負荷物質)を一切排出しない状態」を意味します。広義では、「ある産業の生産活動から排出された物質が他産業の資源として活用され、社会全体では排出物が実質ゼロの状態」を意味します 。

ゼロエミッションとカーボンニュートラルの違い

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス(⼆酸化炭素・メタン・窒素酸化物など)の排出量が実質的にゼロの状態です。

それに対し、ゼロエミッションは、温室効果ガスだけではなく、排出物全般を対象とした概念です。そのためゼロエミッションの場合、大気汚染物質、水質汚濁物質なども削減対象に含まれます 。

ゼロエミッションとサーキュラーエコノミーの関連性

社会全体でゼロエミッションを達成するためには、サーキュラーエコノミー(資源循環型産業システム)に移行しなければいけません。

サーキュラーエコノミーは、あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値を最大化することを目指す社会経済システムです。特に多くの資源を諸外国に依存している日本では、外国からの資源供給が途絶えるリスクに備えるためにも、国内で資源を循環させていく必要があるとして、「成長志向型の資源自立経済」を提唱しています。

サーキュラーエコノミーは、限りある資源をさまざまなやり方で循環させようという考え方であり、単なる技術的サイクルに留まらず、「維持・長寿命化」「シェアリング」、「再利用・再配分」、「改修・再製造」、「リサイクル」というようにループを何重にも構築し、資源の廃棄を最小限することを目指しています。

RX Japanが主催する展示会「リサイクルテック ジャパン」では、ゼロエミッションの実現に役立つサービス・ソリューション・プロダクトが多数展示されます。素材業界で廃棄物関連の業務を担当している方は、ご来場の上、最新情報を収集してはいかがでしょうか。

ゼロエミッションが注目される理由


近年、温室効果ガス排出量の増大によって地球温暖化に伴う気候変動問題が深刻化していますが、状況を改善するために、2016年に「パリ協定」が温暖化対策の枠組みとして発効しました。パリ協定を踏まえて、世界各国で温室効果ガス削減の取り組みが進められていることが、ゼロエミッションが注目される理由です。

また、日本政府が2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す旨を宣言したことも、ゼロエミッションが注目される理由・背景事情 として挙げられます。

ゼロエミッションに関する国・自治体の取り組み事例


ゼロエミッションを実現するために、国や自治体が様々な事業・プロジェクトを実施したり、戦略を立案したりしています。以下、主な取り組み事例を3つ紹介します。

エコタウン事業

エコタウン事業とは、「ゼロ・エミッション構想」を環境調和型の地域経済社会を形成するための基本構想として位置付け、地域振興の基軸として推進する取り組みです。ゼロ・エミッション構想とは、ある産業から出る全廃棄物を、他分野の原料として活用し、トータルでは廃棄物がゼロの状態を目指す構想です。

先進的な環境調和型のまちづくりを目指すエコタウン事業は、1997年度に政府によって創設されました。環境省と経済産業省から承認されたプラン(都道府県または政令指定都市が作成)に基づいて実施される事業に関して、地方公共団体や民間団体に総合的・多面的な支援が実施 されます。

参考:環境省「エコタウン事業の概要」 

ゼロエミ・チャレンジ

ゼロエミ・チャレンジとは、カーボンニュートラル実現に取り組む企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」と位置付けてリスト化し、投資家などが活用可能な情報として公開するプロジェクトです。経済産業省が、一般社団法人日本経済団体連合会や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と連携して実施しています。

ゼロエミ・チャレンジ企業に選定されると「ロゴマーク」の使用が可能になる他、企業イメージが向上するため、投資を受ける際に有利です。なお、投資家・金融機関・有識者などが集まる「環境イノベーション・ファイナンス研究会」で検討し、リストアップする企業の客観性・網羅性が確保 されています。

※参考:経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ」 

ゼロエミッション東京戦略

東京都は2019年5月に開催された「U20(Urban20)東京メイヤーズ・サミット」で、「ゼロエミッション東京」(2050年までにCO2(二酸化炭素)排出量を実質ゼロの状態を目指すこと)を宣言しました。

宣言を踏まえてビジョンや具体的な取り組み・ロードマップをまとめたものが、「ゼロエミッション東京戦略」です。ゼロエミッション東京戦略には、「ゼロエミッションビルの拡大」や「ゼロエミッションビークルの普及促進 」などの項目が盛り込まれています 。

※参考:東京環境局「ゼロエミッション東京」  

RX Japanが主催する展示会「リサイクルテック ジャパン」では、ゼロエミッションの実現に役立つサービス・ソリューション・プロダクトが多数展示されます。国や自治体の事業・プロジェクト・戦略を踏まえて、素材業界でゼロエミッションの実現に取り組むのであれば、ご来場の上、最新の情報を収集してはいかがでしょうか。

ゼロエミッションに関する企業の取り組み事例


国や自治体だけではなく、民間企業でもゼロエミッションの実現に向けた取り組みが加速しています。以下、素材業界でゼロエミッションに取り組む企業を3社紹介します。

旭化成住工株式会社

旭化成住工株式会社は、建築物の部材を製造している企業 です。3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進によってゼロエミッション(最終埋立処分量ゼロ)を2003年度に達成し、現在も継続中です。

同社は、生産計画と調達計画を連動させ、原料や資材(鋼材・梱包材)を工場に受け入れる際に生じるムダを減らす活動(リデュース)に取り組んでいます。加えて、発生した排水汚泥・鉄・プラスチックくずなどの廃棄物も、再使用・再生利用(リユース・リサイクル)しています 。

出典:旭化成住工株式会社「サステナビリティ」 

岩谷産業株式会社

岩谷産業株式会社は、LPガスやカセットコンロを中心とした総合エネルギー事業を営む企業 で、近年、水素エネルギー関連事業にも進出しています。

同社は、脱炭素社会に実現に向け、水素ビジョンを掲げ、様々な取り組みを行っています。同社は、海外で安価な原料、安価な電力料金を利用して大規模に低炭素水素を作り、大型の液化水素専用船で日本まで運搬し、発電用、産業用、そして製鉄や化学材料として幅広く活用される、水素エネルギー社会の実現を目指しています。

出典:岩谷産業株式会社「イワタニの取り組み|水素エネルギー社会の実現に向けて|水素とイワタニ」 

日本製鉄株式会社

日本製鉄株式会社は、日本で最大手(世界でもトップクラス)の鉄鋼メーカー で、社内でのゼロエミッションを推進しています。

製造工程で発生する副生ガスを、鋼材加熱用の燃料ガスや製鉄所構内にある発電所のエネルギー源として100%有効活用していることが、同社の取り組みの具体例です。また、製品や製造設備の冷却・洗浄に使用する水に関しては、90%を再生して繰り返し使用しています。

鉄を製造する際には、鉄鋼スラグ・ダスト・スラッジ・使用済み耐火レンガなどの副産物が発生しますが、同社ではリサイクルを徹底することで再資源化率が99%に達しました 。

今後は、製鉄プロセスで発生する大量の二酸化炭素の削減も進めていく計画を発表しています。

出典:日本製鉄「ゼロエミッションの社内推進 | 循環型社会構築への貢献 | サステナビリティ」 

ゼロエミッションを実現するための課題


特定の企業や産業だけではなく、社会全体でゼロエミッションを実現するためには、再生可能エネルギーを主力電源化したり、水素などの脱炭素燃料への転換を進めたりしなければなりません。。具体的には、競争力のある洋上風力発電産業の形成などが必要です。また、化石燃料の脱炭素化技術を開発することも求められています。

その他、ゼロエミッションに取り組むノウハウ・人材が不足していることも課題です。社内で対応できない場合は、外部のサービス・ソリューションを活用することも検討 しましょう。

ゼロエミッションの実現に役立つソリューションを
探せる展示会


RX Japanが主催する展示会「リサイクルテック ジャパン」では、ゼロエミッションの実現に役立つサービス・ソリューション・プロダクトが多数展示されます。

素材業界でゼロエミッションの実現に向けて取り組んでいる方や、これから取り組む予定の方は、ご来場の上、最新の情報を収集しましょう。また、ゼロエミッションの実現に役立つサービス・ソリューション・プロダクトを提供する企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<大阪展>会期:2025年5月14日(水)~16日(金)会場:インテックス大阪

<東京展>会期:2025年11月12日(水)~14日(金)会場:幕張メッセ      


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ゼロエミッションの実現に取り組み、環境への負荷を低減!


ゼロエミッションとは、狭義では、廃棄物(温室効果ガスなど、環境に負荷をおよぼす物質)を一切排出しない状態です。広義では、ある産業の生産活動から排出される廃棄物が他産業の資源として活用され、社会全体では廃棄物が実質ゼロの状態を意味します。素材業界を含む社会全体でゼロエミッションの実現に向けて取り組んで、環境負荷を低減し、地球温暖化の進行を食い止めましょう。

RX Japanが主催する展示会「リサイクルテック ジャパン」では、ゼロエミッションの実現に役立つサービス・ソリューション・プロダクトが多数展示されます。

素材業界でゼロエミッションに向けて取り組んでいる方や、これから取り組む予定の方は、ご来場の上、最新の情報を収集してはいかがでしょうか。また、ゼロエミッションの実現に役立つサービス・ソリューション・プロダクトを提供する企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

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