マテリアルリサイクルの種類は2つ!市場規模と今後の成長予測も紹介

持続可能な経済、社会を実現するため、重要な役割を持つマテリアルリサイクル。一言でマテリアルリサイクルといっても、2つの種類があります。レベルマテリアルリサイクル(水平リサイクル)とダウンマテリアルリサイクル(カスケードリサイクル)です。

また、社会的な要請からマテリアルリサイクルの市場規模は年々伸びています。

この記事ではそれらの紹介とともに、マテリアルリサイクルの手法や他のリサイクル方法についても触れ、どのような産業であるか、どう期待されるのかも見ていきます。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2026年9月30日(水)~10月2日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪

マテリアルリサイクルの手法|基礎知識

リサイクルしたい製品を破砕するなどしたものを、再び製品にするのがマテリアルリサイクルです。

日本政府が目標に掲げる2050年のカーボンニュートラル達成に向け、マテリアルリサイクルを含むリサイクルも施策の一つとなっています。新たな原料を使わないことで資源消費の抑制になる他、製品をつくる際の二酸化炭素(CO2)排出の低減につながるからです。

そのため、カーボンニュートラルの達成が2050年に定められているのと同様に、マテリアルリサイクルの割合を目標に定める企業や業界団体も見られます。たとえば、プラスチック関連の業界団体であるクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス は、マテリアルリサイクル率の目標として2030年までに60%、2050年までに100%を掲げています。


マテリアルリサクルには2つの種類がある

本題となる、マテリアルリサイクルの種類についてです。

マテリアルリサイクルには、「レベルマテリアルリサイクル/水平リサイクル」と「ダウンマテリアルリサイクル/カスケードリサイクル」の2種類があります。それぞれの詳細を、見ていきましょう。

レベルマテリアルリサイクル/水平リサイクルとは

レベルマテリアルリサイクルとは、リサイクル前の製品と同等の製品へとリサイクルすることです。古新聞を新しい紙へとリサイクルすることは、マテリアルリサイクルの事例の一つです。

同「レベル」で「マテリアルリサイクル」するのがレベルマテリアルリサイクル、と覚えられるのではないでしょうか。レベルマテリアルリサイクルは、水平リサイクルとも呼ばれます。

レベルマテリアルリサイクルとは、リサイクル前の製品と同等の製品へとリサイクルすることです。古新聞を新しい紙へとリサイクルすることは、マテリアルリサイクルの事例の一つです。

同「レベル」で「マテリアルリサイクル」するのがレベルマテリアルリサイクル、と覚えられるのではないでしょうか。レベルマテリアルリサイクルは、水平リサイクルとも呼ばれます。

ダウンマテリアルリサイクル/カスケードリサイクルとは

ダウンマテリアルリサイクルとは、リサイクル前よりもレベルダウンした製品にリサイクルすることです。ペットボトルをダウンマテリアルリサイクルして、衣服の材料にするケースが該当します。

マテリアルリサイクルは、繰り返すと原料の質が落ちていってしまうため、ダウンマテリアルリサイクルという手法が採られます。

ダウンマテリアルリサイクルは、カスケードリサイクルとも呼ばれます。カスケードとは、階段状の滝のことです。レベルダウンさせながらもリサイクルを続けていくことを、カスケードに見立てているわけです。


マテリアルリサイクルとともに耳にするリサイクル手法

リサイクルの手法にはマテリアルリサイクルのほか、「ケミカルリサイクル」と「サーマルリサイクル」があります。以上の3つが、主要なリサイクルの手法です。

一方、「メカニカルリサイクル」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。

これらについて、見ていきましょう。

ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルとは

ケミカルリサイクルとは文字通りケミカル(化学)な手法で、リサイクルしたい製品を化学的に分解して、次の製品に再生するものです。

一方、サーマルリサイクルとは、物理的、化学的にリサイクルするのではなく、廃棄物を焼却するときに出る熱を温水プールなどの熱源として利用する手法です。サーマルとは、熱、温度といった意味があります。

サーマルリサイクルはCO2を排出するため、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルへの転換が求められています。

マテリアルリサイクルとメカニカルリサイクルの違いは

メカニカルリサイクルとマテリアルリサイクルは同じ意味の言葉です。マテリアルリサイクルは粉砕など、機械的にリサイクルをするため、メカニカルリサイクルとも呼ばれるのです。


成長するマテリアルリサイクルの市場規模

地球や人間を含むあらゆる生物、資源が持続していくために行われるリサイクルですが、成長性がなければ必要なプレイヤー(事業者)が集まらず、前述の目標達成も難しくなってしまうでしょう。

では、マテリアルリサイクルを産業としてみたときの今後はどうなるのでしょうか?

結論から言うと、成長が期待できます。カーボンニュートラルの達成という課題があり、それを実現する手段の一つとして社会からマテリアルリサイクルに期待が寄せられているためです。

プラスチックと金属のマテリアルリサイクルに焦点を当て、より詳しく見ていきましょう。

プラスチック

環境省が毎年発表している「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」という資料があります。

2024年に発表(調査内容は2022年)された最新版によると、「再資源の商品化(廃プラスチック製品製造業)」は2000年に628億円だったのが、2022年には1699億円 まで伸びています。

また、富士経済が2022年に行った調査によると、2035年の再生プラスチックの市場規模は、2021年と比較して2.4倍の成長を遂げると予測されています。年平均成長率にして約2.8%です。

これは、マテリアルリサイクルだけでなく、ケミカルリサイクルを含めたプラスチック全体の数字です。

金属

金属である、鉄スクラップや非鉄金属の再生品の市場についても、先ほどの「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」最新版に掲載されています。

まず「再資源の商品化(鉄スクラップ加工処理業)」は、2000年の3279億円から2022年には1兆1302億円にまで成長しました。

そして「再資源の商品化(非鉄金属第二次精錬・精製業)」も、2000年の5816億円から2022年には1兆9345億円に伸びています。

また、グローバルな調査会社であるStraits Research や国内調査会社のグローバルインフォメーション などによれば、世界の金属リサイクルの年平均成長率は、2030年代初頭までに4〜5パーセント程度で推移するとしています。


マテリアルリサイクルの実際の製品・ソリューション

実際にある金属やプラスチックでのマテリアルリサイクルの製品やソリューションを見ていきましょう。ご紹介する3つの製品はリサイクルテックジャパンと同時開催の高機能素材Weekの過去出展製品です。

nanoSUS®(株式会社小松精機工作所)

小松精機工作所は腕時計の部品製造から事業開始した会社であり、微細な製品に強みを持ちます。

結晶微細化ステンレス nanoSUS®は、JIS規格ステンレスのリサイクル性はそのままに、様々な優れた特性を有する材料です。 例えば強度は通常のばね用材料と比較して引張強度で約20%向上、また切削加工時のバリ低減効果など、加工安定性も向上します。これらnanoSUS®の持つ様々な特性は、最終製品の性能向上・小型軽量化・省資源化・長寿命化に寄与します。

ECOPET(帝人フロンティア株式会社)

ECOPETは、ペットボトルをダウンマテリアルリサイクルしてつくられる、原紙や不織布、テキスタイルなどです。バージン材のポリエステル(石油を原料に初めてつくるポリエステル)より、CO2排出量を6割削減。著名ブランドにも採用されています。

スケートボード(公益財団法人高度マテリアルリサイクル研究会)

処理が難しいプラスチックのリサイクル方法を研究する関連企業・団体による組織、高度マテリアルリサイクル研究会は、実を取ったら捨ててしまう落花生の殻のリサイクル方法を検討。結果、落花生の殻および籾殻を再利用したスケートボードのボード部分を製作しました。


まとめ|存在感を増すマテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは手法によって2つの種類に分けられます。レベルマテリアルリサイクルとダウンマテリアルリサイクルです。また、市場規模も今後、拡大していくと見られます。プラスチックや金属では2〜5%程度の年平均成長率となる見込みです。

市場動向を読み取るためには、展示会「リサイクルテック ジャパン」もその有効な手段の一つです。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2026年9月30日(水)~10月2日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


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