「リサイクラー」とは?
リサイクルで必要不可欠な企業・人は何をしているのか

リサイクルでは、リサイクラーと呼ばれる存在の企業、あるいは、人がいます。リサイクラーは、市場から廃棄物を回収し、資源として再び利用できる形にする存在です。よって、リサイクルにおいてなくてはならない企業、人々がリサイクラーなのです。

リサイクラーとなるためには、資格が必要となる場合があります。それは企業としてのリサイクラーも個人としてのリサイクラーも同じです。持続可能な社会の実現のため、リサイクル産業全体が成長し続けていることから、こうした資格や技能をきちんと有していれば、ビジネスの場面で存在感を示せるでしょう。

この記事では、リサイクラーについて取り上げます。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2026年9月30日(水)~10月2日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


リサイクラーとは?「再資源化事業者」とも

リサイクラーとは、廃棄物として出されたものを再利用するため、資源の状態にする「企業・事業者」を指します。日本語で「再資源化事業者」とも呼ばれます。

一方、そのような企業の従業員として再資源化するために選別・加工などを行う「人」をリサイクラーと呼ぶ場合もあります。


リサイクラーが取り扱う資源・廃棄物の例

一言でリサイクラーといっても、どのような事業をしているかはさまざまです。廃棄物から資源ごとに選別するリサイクラーがいれば、鉄スクラップ業者などと同様に特定の資源の再生を行うリサイクラーもいます。

事業の形態はさまざまといえども、日本語での名前が再資源化事業者であるように、「資源」がリサイクラーにとって仕事の対象であり、売り物であることは、どの企業も同じであるでしょう。

そこで、リサイクラーが何をどう取り扱っているか、資源・素材を中心に紹介します。

プラスチック(ペットボトル)

プラスチック類は、多様な用途があり、近年はプラスチックの利用を少なくするための議論や規制がされているため、リサイクルの分野では話題に上りやすい素材です。

プラスチックの中でも代表的なペットボトルを例にリサイクラーの作業を挙げると、回収したペットボトルを洗浄、破砕し資源化。その後、再びペットボトルにする、品質的にペットボトルにできないものは衣類など別の製品の原材料とするなどでリサイクルする流れです。

以上は、メカニカルリサイクルという物理的なリサイクル方法です。一方、プラスチックを化学的に分解し再生するケミカルリサイクルの研究開発が進められており、これが実現すれば品質を落とさずリサイクルが可能になることが期待されています。

金属

金属は、回収されたものを選別します。選別の方法には、磁石を使って鉄とそれ以外のものに選別する、成分を精緻に分析する、などがあります。その上で、適当な長さに切る、破砕するといった方法で金属メーカーが使いやすい形にし、リサイクラーから出荷する流れです。

金属はメカニカルリサイクルで再生しますが、リサイクルを繰り返しても品質が落ちにくい特徴があります。

「再生紙」という言葉が多くの人に知られているように、紙もリサイクルされる代表的な素材です。

紙のリサイクルは回収後、薬品の入ったお湯に浸けます。この作業は、紙繊維とインクとを分離しやすくし、サイズの大きい不純物を取り除くのが目的です。

次にスクリーンという機器に通し、小さな不純物を取り除きます。さらに、フロテーターという機器で、紙繊維とインクや塗料などとを分離。そして、漂白タワーで過酸化水素水を用いて、紙を漂白します。

最終的に水での洗浄と脱水によって、古紙パルプという素材ができ上がります。

繊維(衣類)

衣類を中心とした繊維のリサイクルで、最初の回収のプロセスではお店や行政の回収ボックス、資源回収されたものが、リサイクラーの下に集まります。

回収品のうち、まずそのまま売れそうなもの(輸出を含む)とそうでないものとを選別。後者は、繊維をほぐすなどし、素材ごとのさらなる選別をして再資源化する流れです。

その他

ここでは、リサイクラーが取り扱うものを素材ごとに、どのように再資源化するかを取り上げてきました。一方で、自動車、家電などというように、製品単位でリサイクルを行うリサイクラーも存在します。

それだけ、リサイクラーの仕事は事業者によって大きく異なるといえるでしょう。


リサイクラーに必要な資格の例

リサイクルに関する仕事は、資格の取得が求められる場合があります。逆に、資格を有していなければ、法的処分が課されることもあります。

ここでは、企業としてのリサイクラー、個人としてのリサイクラーに分け、必要な資格の代表例を取り上げます。

企業としてのリサイクラーに必要な資格

リサイクラー企業で必要になる場合がある資格の例として、次のようなものがあります。

  • 産業廃棄物収集運搬業
  • 古物商
  • 金属くず商

産業廃棄物収集運搬業は、事業活動で排出される廃棄物の収集運搬で必要となる資格です。つまり、企業からリサイクルしたいものを引き取る場合に保有が求められます。

古物商は、リサイクルショップや古着店の開業などで必要な資格として知られますが、例えば古着を買取・選別・加工・梱包などをして別の事業者に販売する場合は必要となる場合があります。

金属くず商は、金属くず(スクラップ)を売買する事業に必要となる資格です。

産業廃棄物収集運搬業と金属くず商は都道府県より許可を得、古物商は所轄の警察署から許可を得ます。

個人としてのリサイクラーに必要な資格

ここでは、リサイクラー企業に個人が勤める場合、必要になることがある資格の例を取り上げます。企業の従業員でなく個人事業主としてリサイクラーとなる場合は、前述した「企業としてのリサイクラーに必要な資格」が求められることがあります。

  • 廃棄物処理施設技術管理者
  • 運転免許(利用する車のサイズにより大型、中型など)
  • フォークリフト運転資格
  • 玉掛け・クレーン技能資格

廃棄物処理施設には、最初に挙げた廃棄物処理施設技術管理者の資格を有する人を、必ず置かなければなりません。また、廃棄物処理施設技術管理者の資格を取得するには、受験時点での保有資格や学歴によって、必要な実務経験(年数)が求められます。一般社団法人日本環境衛生センターが講習や試験を行っています。

リサイクル以外の事業と同様、自動車を運転する場合は当然、運転免許が必要です。リサイクラーの場合、トラックやダンプを運転する機会もあるため、準中型、中型、大型などの免許が必要となるケースが考えられます。

フォークリフトや玉掛け・クレーンの資格は、主に自社内で作業をする際に必要な資格です。玉掛けとは、クレーンに物を掛ける、外す作業を指します。


リサイクラーを取り巻く市場動向|規模は拡大傾向

リサイクラーに関する市場動向について、2つの統計から現状はどのようになっているかを見てみましょう。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が環境省より請け負って制作した「令和5年度適正なリユースの促進及び違法な不用品回収業者対策に向けた調査・検討業務報告書」によると、2022年のリユース市場の規模は2兆8976億円でした。この数字は2009年以来、一貫して右肩上がりとなっています。リユース市場は個人の消費者が主体となる市場ではありますが、繊維のリサイクラーなどにとっては関連深い統計となりそうです。

同じく環境省の業務としてワーキンググループがまとめた「令和4年度環境産業の市場規模推計等委託業務 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」では、廃棄物処理やリサイクルに関する分野の市場規模は2021年に4兆7677億円でした。こちらは、年によって上振れ、下振れがあるものの、2000年の3兆9058億円と比べ8000億円ほど伸びており、長期的に見て成長しているといえそうです。

こうした数字から、リサイクラーを取り巻く市場環境は成長が続いている段階といえるでしょう。


リサイクラーにとっての今後の課題は?

これからも成長が望めそうなリサイクル業界、そして個々のリサイクラー企業ですが、乗り越えなければならない課題も存在します。それら3つを見ていきましょう。

収益を確保できる環境の構築

リサイクルを事業として継続していくには、収益を安定して確保し続けることが求められます。よって、リサイクラーから資源を買う企業が市場環境に即した価格で購入しなければ、持続的なリサイクル市場の形成に至りません。

近年は物価高で企業の大小を問わず収益化が厳しい状況ですが、リサイクラーの価格交渉と需要家の理解の双方が必要です。

サーマルリサイクルや埋め立てからの脱却

欧州では、資源を燃やしてその熱を利用するサーマルリサイクルを、リサイクルと認めない傾向があります。二酸化炭素(CO2)を排出してしまうからです。

そうしてできた焼却物を埋め立てることもなくし、資源を100パーセントリサイクルする状況が望ましいといえるでしょう。

よって、サーマルリサイクルと埋め立てをいかになくしていくかが、課題となります。

ケミカルリサイクルの進化

前述のように、プラスチックはケミカルリサイクルの研究開発が進んでいます。プラスチックのようにリサイクルを重ねると品質が落ちていってしまう素材の場合、ケミカルリサイクルが可能になればリサイクル後の品質向上が望めるためです。よって、リサイクル業界全体としてケミカルリサイクルの研究開発を進めていくことが課題となります。

一方、ケミカルリサイクルが実現に進めば、リサイクラーにとっては設備導入などのコスト増加も考えられます。これはもう一つの課題であり、解決には先ほども触れたリサイクラーの収益力向上が必要となるでしょう。


注目のリサイクラー4社とリサイクラーの動向を知る方法

リサイクラーは、リサイクルにおいて再資源化を行う企業などですが、それだけでは明瞭なイメージが難しいかもしれません。そこで、注目のリサイクラーがどのような事業を行っているか、取り上げます。

TREホールディングス

TREホールディングス株式会社は2021年、株式会社タケエイとリバーホールディングス株式会社(現リバー株式会社)という2社のリサイクラーの経営統合により誕生した会社です。

土木建築材料や建物解体で発生する廃棄物、廃棄された什器類、廃家電、廃車などのリサイクルを行っています。単に再資源化するだけでなく、製品メーカーなどに循環型社会を志向するための商品開発へのフィードバックもしており、さまざまな角度から資源の循環に取り組んでいます。

上の写真は、傘下のリバーが2022年4月より稼働した東松山事業所の電子廃棄物専用ラインです。廃棄された電子機器を解体し、希少性・付加価値の高い「金銀銅滓」を国内製錬所へ出荷するためのラインです。

DOWAエコシステム

非鉄金属の精錬を中心に事業を行うDOWAグループの中で、DOWAエコシステム株式会社はリサイクラーとしての機能を有する企業です。リサイクルする対象は、非鉄金属に限りません。

例えば、上の写真は「バイオコークス」というバイオマス固形燃料の一種で、稲藁や茶葉、コーヒー豆などといった生物由来の廃棄物を再資源化しています。

エコマックス

東京に本社を置き、関東・中部で事業展開する株式会社エコマックスは、プラスチックのマテリアルリサイクルや包装資材の製造販売を行う企業です。包装資材は、自社で再資源化した原料を使っており、リサイクラーとしての成果物にさらなる価値を付加する取り組みを行っています。

また、ドイツ・ZERMA社の機器を輸入販売。ZERMAは、プラスチックやゴムを細分化する機器のメーカーで、これらのリサイクルの効率化を図ります。

J&T環境

JFEグループのJ&T環境株式会社は、ペットボトルをはじめとしたプラスチックのメカニカルリサイクル、ケミカルリサイクルを行う会社です。プラスチック以外にも、医療系廃棄物や廃液、太陽光パネルのリサイクルなどに取り組んでいます。

2025年3月には、国内で最大規模のプラスチックリサイクル施設「Jサーキュラーシステム」を、本格稼働させました。

リサイクラーの動向を知る方法

リサイクラー企業を1社ずつ確認しなくても、さまざまな企業、そして業界全体がどのような動向を見せているかを把握できる方法があります。それが、展示会「リサイクルテック ジャパン」への来場です。

さまざまなリサイクラーの展示があることはもちろん、有識者、リサイクラー企業が登壇するカンファレンスで最新情報の収集も可能です。ここでは、2025年5月14日(水)〜16日(金)インテックス大阪で開催するリサイクルテック ジャパンのカンファレンスを紹介します。

 

成長志向型の資源自律経済の確立に向けた取組について

【RCL-K2】2025年05月14日(水)12:45 ~13:30

経済産業省の田中将吾氏が、国の政策として資源循環経済をどう形成していこうとしているのかを、解説します。

 

自治体を核としたプラスチック資源循環の未来像

【RCL-S1】2025年05月15日(木)12:15 ~13:45

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス事務局の柳田康一氏がモデレーター、アミタホールディングスの宮原伸朗氏、ヤクルト本社の久保昌男氏、神戸市の井関和人氏がパネリストとして登壇。海洋プラスチックゼロを目指しつつプラスチックの循環を官民でどう連携していくかを議論します。

 

ケミカルリサイクル社会実装に向けたCLOMA企業連携(仮)

【RCL-S2】2025年05月16日(金)12:15 ~13:45

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス事務局の南部博美氏がモデレーター、セブン&アイ・ホールディングスの尾崎一夫氏、三菱ケミカルの板東健彦氏、三井物産の道明太郎氏がパネリストとして登壇。プラスチックのケミカルリサイクルを社会実装するための議論を展開します。

 

この他にも、多くのカンファレンスを開催予定です。カンファレンスの聴講は無料/事前申込み制のため以下のリンクより確認ください。


まとめ|リサイクルになくてはならないリサイクラー

リサイクルにおいて、非常に手間と時間がかかってしまう工程が、選別です。リサイクラーは、選別作業や再資源化後、ユーザーが使いやすい形にする加工するなどの作業を行います。よってリサイクラーがいなければ、廃棄物を無駄にせず活用することは難しくなってしまうでしょう。

リサイクラーの作業は手間と時間がかかるため、それに見合った収益を上げなければならないなど、課題もあります。一方で、市場規模は成長を続けているため、社会からのリサイクラーに対する期待は高いです。自社の認知拡大、材料メーカー・物流・小売・自治体との商談やパートナーシップの提携をするなら、リサイクルテック ジャパンへの出展をおすすめします。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2026年9月30日(水)~10月2日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


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