選別機の種類を一挙紹介!リサイクルではどのように使われる?

ご家庭でごみを出すとき、必ず分別が行われます。分別によって、ごみをただ捨てるだけでなくリサイクルにつなげる意味があります。

企業から出る廃棄物、あるいは、廃棄物のリサイクルを行う企業にとっても、これと同じ作業は非常に重要です。こうした作業は「選別機」を使って行われる場合があります。材質や廃棄物の大きさごとに分けるなどで、効率的なリサイクルにつなげてくれる機械です。

環境保全と資源の消費の抑制を図るため、リサイクルはますます重要な取り組みになっていくことでしょう。そうなると、選別機もさらに重要な存在となるはずです。

ここではリサイクルの視点から、選別機の種類や導入について取り上げます。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2025年11月12日(水)~14日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


選別機とは?どのような用途に使われるのか

選別機とは文字通り、ものを何らかの種類ごとに選り分ける機械です。

選別機での分け方は、大きさや重さという場合があれば、素材によって分ける場合もあります。リサイクルで選別機を使う際は、素材ごとに分けることで再利用へつなげます。また、選別はセンサーで感知するなど、機械的に行われるものです。

大量のものを選別する場合、人の手ではスピードや精度の面でうまくいかないことがあります。例えば、穀物や廃棄物を選別するといったケースであり、そこで選別機が使われるわけです。

より細かなユースケースでいうと、穀物をはじめとした食物であれば選別機によって異物混入を防ぐ、リサイクルであれば金属の廃棄物を鉄か非鉄かで分ける、などが挙げられます。

この記事で、リサイクルでの利用を中心とした選別機の種類や導入する際のポイントを見ていきましょう。


選別機の種類

選別機でものを選別する方法は多様に存在します。よって、選別機はたくさんの種類があります。ここでは、9種類の選別機を紹介。それらが、リサイクルでどのように使われるかも見てみましょう。

光学式選別機(センサー式選別機)|センサー・カメラで選別

光学式選別機(センサー式選別機)は、光学センサーとカメラという光学的な方法によって、選別する機械です。ベルトコンベアの上を選別する対象物が流れ、それをセンサーとカメラが識別。材料、色、大きさ、形などにより、選別します。

物理的にものを分ける際は、所定の位置へジェットエアによる風で対象物を吹き飛ばします。

なお、光学式選別機のカメラはCCDカメラやCMOSカメラの他、肉眼ではわからない光を認識できるハイパースペクトルカメラや速い動きもとらえられるハイスピードカメラが組み合わされる場合もあります。

光学式選別機をリサイクルで使う場合は、廃棄物から金属やプラスチックといった素材ごとに分けるなどが利用方法となっています。

土間選別機(バリスティックセパレーター)|重量で選別

土間選別機(バリスティックセパレーター)は、トラックの荷台が傾いたような見た目です。

リサイクルでの選別の場合、この中にバックホウ(ショベルカー)などで廃棄物を投入。そして、選別機が振動し、軽いものは上へ浮き上がるように動き、重いものは下に動きます。

このように、選別する対象物の重さや形状を利用し、振動で選別する機械が土間選別機です。

リサイクルでの土間選別機の利用は、紙や繊維といった軽いものとその他の重いものとの選別の他、重さと形状を選別する特性を生かし廃棄物に付いた砂を落とすこともあります。

非鉄金属選別装置|渦電流で選別

非鉄金属選別装置は、その名の通り銅やアルミニウムなど非鉄金属とそれ以外のものとを選別する機械です。

選別する対象物は、ベルトコンベアの上に投入。ベルトコンベアを動かすローターには、「ディスク」や「ボール」と呼ばれる磁石のN極とS極が高速で回転するパーツがあります。結果、ディスク、ボールは渦電流を生み出します。

磁性がなくとも渦電流には反応する非鉄金属は、弾き飛ばされるように動きます。一方、磁性のある鉄は、ベルトコンベアに付いたままとなり、非鉄金属と鉄とに分けられるのです。

また、非金属は磁石にも渦電流にも反応しないため、コンベアからそのまま真下へ落ちることで選別します。

リサイクルでは、このように非鉄金属、磁性のある金属、非金属を選別するのに、使われます。

LIBS選別機|レーザーとプラズマで選別

LIBSとは、レーザー誘起ブレークダウン分光法の英文を略したものです。物体にレーザーを当てると発生するプラズマを、分光器で分析する方法になります。これを選別機に当てはめたのが、LIBS選別機です。

成分分析ができるため、合金を種類ごとに選別するのに使われます。

X線選別機|X線で密度・元素の分析をして選別

X線選別機は、2つの種類に分けられます。

一つは、X線の透過性を利用し、軽金属と重金属とを分ける透過型のX線選別機です。透過性が高いものが軽金属となります。

もう一つは、蛍光分析型のX線選別機です。X線を当てると元素ごとに異なる蛍光X線が発生します。蛍光分析型のX線選別機は、この仕組みによりどの元素が含まれた金属であるかや合金の種類を識別できます。

よって、リサイクルにおけるX線選別機は金属を対象に使われるものです。

振動選別機(ふるい選別機)|ふるいで大きさや重さを選別

振動選別機(ふるい選別機)は、機械を振動させながらふるいの原理で落ちるものと落ちないものを選別します。よって、サイズの大小を選別する機械です。

傾斜が付いた選別機であり、対象物をその上部から投入。下へ落ちるまでに、スクリーン(マット)という穴の開いた板の上を通ります。スクリーンから落ちるものは小さく、落ちずに下まで行くのが大きいものです。スクリーンは交換が可能であるのが一般的で、換えることで穴の大きさも変わります。

リサイクルするものの大きさなどを選別するため、使われます。

プラスチック選別機|主に5つの方式

リサイクルで使用済みプラスチックの選別に使われるのが、プラスチック選別機です。いくつかの種類があります。

種類ごとの仕組みと用途を取り上げます。特に、光学式の選別機は材質と着色プラスチックと無色のプラスチックとを分けるものです。その他は、材質ごとの選別を行います。

  1. 近赤外線(NIR)式 |NIRの照射で、ポリスチレン(PS)・ペット樹脂(PET)・ポリプロピレン(PP)・ポリ塩化ビニル(PVC)・その他に選別
  2. 比重式 |水槽に浮くか否かで、軽量プラスチック(PPやポリエチレン〈PE〉など)・重量プラスチック(PETやPVCなど)に選別
  3. 静電式 |対象物に静電気を帯電させ、PE・PET・PPなどを選別
  4. X線式 |前述のX線の蛍光反応で、PVCを識別
  5. 光学式 |光学センサーで、着色・無色の選別、PP・PE・PSなどの選別

風力選別機|風で重量物・軽量物を選別

風力選別機は、風に乗る軽いものと、風に乗らず落ちる重いものに選別する機械です。重さでの選別となるので、リサイクルの際は風力選別機にかけた後、さらに種類ごとの選別が行われます。

磁選機|鉄をはじめとした磁性品とそれ以外に選別

磁選機は、鉄など磁性のあるものとそれ以外とを選別する機械です。先程、取り上げた非鉄金属選別機と異なり、渦電流を発生させるわけではないので非鉄金属だけを選別するということはできません。

鉄リサイクルで鉄を抽出する、鉄の不純物を排除するのに使われます。


経営者・管理職が選別機導入で覚えておきたいポイント

ここまでを読んで、自社の環境対応のため、あるいは、環境を守ることをビジネスにするため、選別機の導入を考え始めた方もいるかもしれません。

企業が選別機を導入する場合、経営者や管理職の方が覚えておきたいポイントを2つ取り上げます。「耐用年数」と「費用をかけずに選別機を導入する方法」です。

1点目の耐用年数は、会計処理で減価償却を行う年数のことです。選別機の耐用年数は7年となっています。耐用年数を過ぎると減価償却資産として経費計上をしなくなるため、更新のタイミングの目安ともなるでしょう。

費用をかけずに選別機を導入する方法として、レンタルが挙げられます。選別機は、高価なものでは数百万円から数千万円となります。そこで、まずはレンタルの選別機を利用してお試しで使ってみると、自社に適切な選別機の選択につながりそうです。


選別機の実例3製品

流通している選別機の実例を見てみましょう。

ドイツ発祥で現在は中国資本の産業用機械メーカーであるLauffer Vision Technologyのラインナップには、選別機もあります。

「Donar X線選別機」は、アルミニウムを回収するための選別機。回収されたものは、スクラップとしてリサイクルに利用することを想定した機械です。


同じくLauffer Vision Technologyの「Grün HPB ペットボトル選別機」は、光学カメラ、赤外線カメラ、そしてAIを組み合わせ、ペットボトルの色や材質などを識別、選別します。


別のメーカーがつくる選別機も紹介します。フジトク株式会社は、近赤外線とスパーク放電によるプラスチック選別機を開発。色による選別ができる他、難燃剤や重金属添加物の検出もできるものです。


まとめ|リサイクルを支える選別機

あらためて選別機の機能をまとめると、食品の異物を検出したり、リサイクルのために材質などを識別できたりする機械です。選別する方法によって、さまざまな種類が存在します。

リサイクルに限っていえば、選別がきちんと行われないと要求される性質を持つ再生品の生産が難しくなり、結果的に資源の浪費につながりかねません。環境保全とは真逆の状態といえるでしょう。よって、選別機はリサイクルで重要な役割を持つ機械です。

リサイクルテック ジャパンでも選別機メーカーの出展、選別機の展示を予定しています。導入を検討している方、実物をご覧になりたい方にぜひお越しいただきたい展示会です。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2025年11月12日(水)~14日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


【出展社募集中】まずは無料で資料請求ください!

☑ 出展案内パンフレット
☑ 出展費用のお見積

☑ 出展スペース空き状況
☑ 出展決定企業 社名入り

関連記事


でリスト: 日付
再生プラスチックのあらゆるステークホルダーが集う一般社団法人SusPla。さらなる発展を目指すための展示会での取り組み SusPlaの石塚勝一会長(石塚化学産業株式会社 代表取締役会長)に、SusPlaの目指すところ、そしてリサイクルテック ジャパンでの取り組みについて、聞いた。
「リサイクルテック ジャパン」が初開催!大阪から会場の模様をレポート リサイクルテック ジャパンが2025年5月14〜16日、インテックス大阪で初の開催。どのような出展社がいたのか、同時開催の展示会の模様、またリサイクルテック ジャパンに出展することのメリットを取り上げます。
プレス機・圧縮機はリサイクルでどう使われる?利用される素材、製品の実例 プレス機・圧縮機は物体に圧力をかけ小さくまとめるなどをする機械です。リサイクルでのプレス機・圧縮機の利用は、廃棄物のかさを減らし輸送回数を削減することが目的です。プレス機・圧縮機の種類などをこの記事で取り上げます。
気候変動の対策として進められる「カーボンリサイクル」|つくられる製品と課題 カーボンリサイクルは、カーボンニュートラル実現のための手段であり、工場などから排出されるCO2を分離・回収。さらにそれを建築・土木資材、日用品、燃料などに製品化するものです。日本政府がカーボンリサイクル技術ロードマップを策定するなど、取り組みを進めています。この記事では、カーボンリサイクルを取り上げます。
建設リサイクル法ってどんな法律?実は建設業者以外も知っておく必要アリ! 建設リサイクル法は、従来、割合が高かった建設分野の産業廃棄物やその不法投棄を改善し、リサイクルを推進していくためにつくられた法律です。発注者、元請業者、下請負人といった関係者が、それぞれリサイクルでの役割を果たします。この記事では、建設リサイクルの概要や手続きの流れなどを取り上げます。
選別機の種類を一挙紹介!リサイクルではどのように使われる? 選別機は、ものを材質や色、サイズなどによって選別する機械です。センサーやX線などさまざまな方法で、選別します。また、こうした選別はリサイクルし再資源化するのに不可欠なプロセスであり、選別機は大きな役割を果たしています。選別機の機械としての概要、種類、実機の例などを、この記事で取り上げます。