建設リサイクル法ってどんな法律?実は建設業者以外も知っておく必要アリ!
人々の身の回りにあるビンや缶、ペットボトルの他、さまざまな用途で使われる機械など、世の中に存在するほとんどのものにリサイクルが求められています。持続可能な社会を実現し、私たち人間やその他の動植物、そして地球環境全体が今後も健全な形であり続けるためです。
こうした中で、建設の分野でもリサイクルが求められ、「建設リサイクル法」という法律が存在します。コンクリートや木材といった建築資材の廃棄物を減らし、再利用を促すためのものです。
また、建設リサイクル法の条文を追っていくと、建設業者だけがこの法律を知っていればよいというわけでもないようです。
この建設リサイクル法について、取り上げます。
建設リサイクル法ができた理由
不法投棄も成立した背景の一つ
建設リサイクル法は、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」という正式名称であり、2000年に公布、2002年に施行されました。
第1条にはこの法律の目的として、「特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と書かれています。
以上の文面から、廃棄物を削減し、資源の再利用を進めていくための法律だとわかります。
環境省は、建設リサイクル法ができた背景として、廃棄物全体のうち建設関連により排出されたものが2割(2001年)、不法投棄されたもののうち6割は建設関連からの排出(2002年)という課題があったと、説明しています。
建設リサイクル法の「対象」となる工事とは
建設リサイクル法により、条件に当てはまる工事は届け出など手続きをしなければなりません。手続きをすることにより、リサイクルが行われているか、廃棄物を減らせているかを目に見えるようにします。
該当するのは、「特定建設資材」を使い、規定以上の面積や金額となっている工事です。それぞれを見ていきましょう。
特定建設資材
建設リサイクル法の対象の工事となるか、その判断をする1つ目の基準が特定建設資材です。解体やこれから建設する建築物に以下の特定建設資材が使われている場合、建設リサイクル法の対象となる場合があり、この次に取り上げる工事の規模に該当しているか否かを確認する必要があります。
- コンクリート
- コンクリートと鉄から成る建設資材(プレキャストコンクリートなど)
- 木材
- アスファルト
日本国内にあるほとんどの建物が、以上のいずれかを使っていると考えられます。それでは続いて、対象となる工事の規模を見ていきましょう。
対象となる工事の規模
建設リサイクル法による届け出などの手続きが必要となる工事の規模は、以下の通りです。
- 建築物解体工事 床面積80平方メートル以上
- 建築物新築・増築工事 床面積500平方メートル以上
- 建築物修繕・模様替えなどの工事(リフォームなど) 請負代金1億円以上
- 建築物以外の解体・新築工事 請負代金500万円以上
床面積の基準は、工事をする土地の面積ではなく延べ床面積です。よって、1・2階の面積がいずれも40平方メートルの床面積であれば、建設リサイクル法で届け出などが必要となる工事に、該当することになります。たとえば、10メートル×10メートルは100平方メートルですので、住宅の解体も該当する場合があるでしょう。
オフィスビルや工場の解体・新築工事であると、該当する場合が少なくないと考えられます。
建設リサイクル法の「関係者」
手続き上、重要なポイントとは?
建設リサイクル法の条文には、「発注者」「元請業者」「下請負人」といった関係者が記されており、また第2条でその定義が明記されています。
ここまでも何度か触れたように、建設リサイクル法で該当する工事は届け出などが必要となりますが、その義務は発注者に課せられています。よって、建設業者でなければ建設リサイクル法には関係ないかというと、そうではないのです。
建設リサイクル法における関係者の定義、役割を次の通り、取り上げます。
関係者の名称 |
定義 |
役割 |
発注者 |
工事の注文者。一般的に使われる「施主」「建築主」に該当。また、建設業者が自社のオフィスなどを自分たちで建設する場合は「自主施工者」という関係者に該当し、発注者と同等の役割を持つ |
● 都道府県知事へ工事7日前までに必要事項を届け出 |
元請業者 |
発注者から直接、工事を請け負った建設業者 |
● 分別解体と再資源化の実施 ● 発注者へ再資源化などの事前説明と事後報告、記録の保存 ● 下請負人への指導 |
下請負人 |
元請業者と下請契約を結んだ建設業者 |
● 元請業者の指導の下、再資源化などをともに行う |
建設リサイクル法に該当する工事ですべきこと
届出の4ステップ
届け出など建設リサイクル法で義務付けられていることを、具体的に見てみましょう。4ステップに分けて、紹介します。
なお、届け出の内容に問題があった場合、都道府県知事は計画の変更を命じます。その場合の対応も含めると、5ステップになります。
ステップ1|説明
建設リサイクル法12条1項には、「直接当該工事を請け負おうとする建設業を営む者は、当該発注しようとする者に対し、少なくとも第十条第一項第一号から第五号までに掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない」と書かれています。
つまり、元請業者は発注者に説明義務があるということです。
10条1項にある5項目は、次の通りです。
- 解体工事の場合は、解体する建築物の構造
- 新築工事の場合は、使用する特定建設資材の種類
- スケジュールと工程の概要
- 分別解体の計画
- 解体工事の場合は、解体で用いられた建設資材の見込み量
ステップ2|契約
こちらも建設リサイクル法の条文を読むと、13条1項に請負契約の当事者は「分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」と書かれています。
この場合の請負契約とは、発注者と元請業者間の契約、元請業者と下請負人間の契約の双方を含みます。
以上、13条1項の条文により、契約では費用や工事の方法だけでなく、再資源化のために利用する予定の施設の名称と所在地も、契約書に明記しなければなりません。
ステップ3|届け出
前述の通り、発注者は工事着手の7日前までに分別解体の計画などを都道府県知事に届け出なければなりません。建設リサイクル法の上では、こちらも前出の10条1項に書かれています。
実際の届出書のフォーマットが国土交通省のウェブサイトに掲載されているので、ぜひ参考にしてください。
また、届出書の他に以下の書類も提出します。
- 分別解体などの計画表
- 工程表
- 案内図
- 建築物の設計図や写真
ステップ4|完了報告
事前の説明と同様、元請業者は発注者に分別解体や再資源化が完了した旨を報告する義務があります。契約時に再資源化で予定する施設の名称、所在地を明記しましたが、これらが実際に行われた場所、完了した日、かかった費用を報告します。
これらは、書面で報告します。
建設リサイクル法に違反した場合のペナルティは?
建設リサイクル法は、罰則規定のある法律です。ここまで取り上げた届け出などをしない、嘘の届け出をするなどには、罰金や懲役刑が下される場合があります。
罰金は、違反した内容により10万円以下から最高で50万円以下の規定があります。たとえば、届け出をしなかった、嘘の届け出をした場合は、20万円以下の罰金です。
懲役刑は、最長1年となっています。解体工事業の登録を受けないで工事した場合などが該当します。
まとめ|求められる建設リサイクルのソリューション
建設リサイクル法は、建築物の新築、増築、解体で可能な限りリサイクルを行うために、できた法律です。条文で書かれていることには、発注者の義務もあります。よって、建設業者、リサイクル業者だけが知っていればよいというわけでもありません。
また、建設リサイクル法は、社会全体で進められている持続可能な社会の構築にもつながるものです。もちろん、建設関連の事業者も社会の一員として、役割を果たすことが期待されています。また、その責任からすでにソリューションを探しているという建設業者もいることでしょう。
こうした建設リサイクルに貢献できるソリューションをお持ちの企業は、ぜひリサイクルテック ジャパンへの出展をご検討ください。
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