再生プラスチックのあらゆるステークホルダーが集う
一般社団法人SusPla
さらなる発展を目指すための展示会での取り組み
モノ、資源のリサイクルの中でも、プラスチックは消費量の多さや自然環境への流出を防ぐ点から、多くの人々から関心を集める。日本にフォーカスして見ると、政府は2035年までに使用済みプラスチックの100パーセントをリユース・リサイクルすることを目標に掲げる。
こうした環境下、再生プラスチックに関係するステークホルダーを中心に組織し、認証制度を設けるなどの活動をするのが一般社団法人SusPlaだ。リサイクルテック ジャパンでも、ともにプラスチックの循環を目指す仲間=会員を広く募るため、リサイクルの最新動向を周知する。
SusPlaの石塚勝一会長(石塚化学産業株式会社 代表取締役会長)に、SusPlaの目指すところ、そしてリサイクルテック ジャパンでの取り組みについて、聞いた。
石塚勝一氏は、石塚化学産業 代表取締役社長、全日本プラスチックリサイクル工業会 会長などを歴任
再生プラスチック市場の健全な発展を目指しSusPlaを創設
冒頭でも記したように、ペットボトルから家電、自動車の部材に至るまで、プラスチックはありとあらゆる場面で利用される。では、具体的にどのくらいの量が使われているか、ご存じだろうか。
おおむね年間900万〜1000万トンが日本のプラスチック消費量となっている。そして、このうち国内で再生に回されるプラスチックの量は、48万トン(2023年)に過ぎない。
「プラスチックのリサイクル自体は、以前から行われていました。しかし、再生材は需要家に『安かろう、悪かろう』のイメージを持たれがちだったのも事実です。
その理由の一つは、再生を行う企業ごとに品質の基準がまちまちだったから、ということもあります。そうなると、需要家側も利用しづらくなってしまいます」
石塚氏をはじめ再生プラスチックの関係者たちがSusPlaを立ち上げた理由も、ここにある。需要家にとって安心して再生プラスチックを使うには、含有物質や本当に環境面で優れたプロダクトとなっているかを、可視化する必要がある。その手段の一つして挙がるのが、第三者による認証だ。認証制度ができれば、需要家、ひいては、最終製品を手にする消費者にとっても、安全、安心につながる。
そこで、石塚化学産業を含むプラスチック再生メーカー4社で構成していた「心臓産業の会」がLCAのエキスパートであるサスティナブル経営推進機構と連携して2023年、SPC認証制度を発案した。
なお、心臓産業の会の「心臓」とは、プラスチックを再生する事業者側(静脈産業)から需要家側(動脈産業)へと押し出すことを人体に比喩したもので、2024年には任意団体のSusPlaへ変化、さらに2025年に一般社団法人SusPlaとなった。一方、SPC認証制度の「SPC」とは、Sustainable Plastics Certification(持続可能なプラスチックの認証制度)の略である。
「SPCは、リサイクラーに対するシステム認証でその工程において4つの項目で基準を満たしているか、認証するものです。
4つとは、①品質の信頼性、②安全への取り組み、③需給バランスの安定化、④環境への取り組み、です。
もちろん、需要家が安心できるよう、成分や機械的特性についての基準も盛り込まれています。
展示会で取り組む「仲間づくり」
SusPlaの前身である心臓産業の会は、石塚化学産業、および同業のいその株式会社、株式会社近江物産、株式会社タイボーの4社で発足した。そして現在、一般社団法人となったSusPlaの会員数は140組織に上る。
しかし石塚氏は、もっと仲間が必要だと話す。仲間を増やし再生プラスチックの課題解決に取り組みながら、資源循環産業を育てていく。そして、国家戦略と位置付けられた循環経済に寄与していきたい、ということだ。
「現在のSusPlaは大企業の会員も中小企業の会員も存在します。また、静脈側、需要家、アカデミズム、行政などさまざまな立場のステークホルダーが会員です。
私たちは、このような会員構成からSusPlaを『マルチステークホルダーの民間団体』と呼んでいます。民間団体でこのような構成となっているのは、非常に珍しいのではないかと考えています。
制度を確固たるものにするためには行政の協力が必要ですし、アカデミズムの方にグランドデザインを考えていただく必要もあるでしょう。
そして、特に会員になっていただきたいと思うのが、私と同じ再生材をつくる、供給する企業です。資源循環産業として成長していくためにも再生プラスチックの供給量を増やしていく事が必要であります。」
仲間を増やすため、SusPlaは展示会も活用する。
石塚氏は2025年5月13日、石塚氏はリサイクルテック ジャパンの大阪展で「再生プラスチックの近況と一般社団法人SusPlaの目的について」と題したカンファレンス(講演)に登壇。再生プラスチックの現状、そしてSusPlaの取り組みを解説した。
リサイクルテック ジャパンのカンファレンスに登壇した石塚氏
「SusPlaの一般社団法人化、そしてSPC認証制度の本格的な運用が始まりました。SPCは第三者認証ですので、現在は当事者の組織であるSusPlaではなく、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が運用しています。
では、SusPlaは何をするのかというと、ほとんど例を見ないマルチステークホルダーの民間団体として、動脈・静脈の連携を深めていきます。会員同士の情報共有や勉強会などでの人材育成を進めていくといった、具体的な施策を考えているところです」
リサイクルテック ジャパンの大阪でのカンファレンスでも、ほぼ満員の中、石塚氏はプラスチックリサイクルへの思いを語った。
展示会というと、企業の商品・サービスをアピールする場とのイメージが一般的であろうし、事実、その効果は大きい。一方で、企業にとってもSusPlaのような団体にとっても、「仲間づくりの場」としても機能する。石塚氏の話とカンファレンスから、それを強く感じた。
なお、2025年11月12日(水)〜同14日(金)に開催するリサイクルテック ジャパンの東京展では、石塚化学産業が出展。石塚氏は、「商品について知りたいという方はもちろん、SusPlaに興味がある方のブース訪問も歓迎します。SusPlaについて、ぜひ聞いていただければ」と語る。
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