粉砕機はどの素材のリサイクルに使われるのか?
種類や特長をご紹介

資源や素材をリサイクルする際、溶かしたり粒状・粉状にしたりしてから新たな素材をつくる場合があります。このうち粉状にするプロセスを担う機械が、粉砕機です。

粉砕と似たような言葉に、破砕や粗砕があります。これらの違いは何なのでしょうか。また、粉砕する際はどのようなものをどういった構造の機械で砕くのでしょうか。

この記事で、リサイクルに主眼を置きながら、それらを取り上げます。見ていきましょう。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2026年9月30日(水)~10月2日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


粉砕機とは?そもそも粉砕はどう定義される?

粉砕機とは、物体を細かく砕く機械です。「粉」に「砕」くと書く通り、粉砕された物体は、非常に細かな大きさとなります。

粉砕のより正確な日本語としての意味を調べてみましょう。辞書『大辞泉』には、次のように意味が記されています。

《①こなごなに打ち砕くこと。「岩石を粉砕する」(以下略)》

やはり、大きさとしてかなり小さなものにすることが粉砕という行為だと理解できます。

では、具体的に何mm、何cmくらいなのか、と疑問を抱く方もいるかもしれません。そこで、粉砕の定義について取り上げていきます。ただし、結論からいうと「何mm以下が粉砕」と断言できない側面があるのも事実です。

それを念頭に置いて、ご覧ください。

粗砕・破砕との違いは

先ほども少し触れた、粗砕・破砕と粉砕との違いから、見ていきましょう。砕いた後のサイズが大きい順に並べると、次のようになります。

粗砕 > 破砕 > 粉砕

つまり、粉砕は粗砕や破砕よりさらに小さなサイズに砕くことです。

粉砕後はどれくらいの大きさになるのか

では、粉砕は何mm、何cm程度の大きさにすることなのでしょうか。

繰り返しになりますが、定量的な大きさをもって「このサイズが粉砕となる」とはいえません。粉砕や粉砕機について説明するウェブサイトを見ても、あるサイトには微粉砕が「数十μm以下」とあるのに、別のサイトでは同じく微粉砕が「数十μm〜数百μm程度 」になるとあり、微妙な違いがあります。

このいずれかが間違っているということではなく、企業や業界によって粉砕の定義が変わるものと受け止められます。

よって、何mm、何cmが粉砕と覚えるのではなく、先ほどの粗砕・破砕・粉砕の違いや、次に取り上げる粉砕の中にある区別を押さえることが大切です。

粉砕の中にもサイズの違いがある

粉砕の大きさについて触れる中で、「微粉砕」という言葉が出てきました。これが示すのは、粉砕の中でも呼び名の違いがあるということです。

では、粉砕のさらなる分類はどのような呼び名になるか、見てみましょう。砕いた後のサイズが大きい順にすると、次のようになります。

粗粉砕 > 中粉砕 > 粉砕 > 微粉砕 > 超微粉砕

こうした分類も、「粗粉砕は何mm」「微粉砕は何mm」などと定義できるものではありません。やはり、企業や業界によってそれぞれの大きさがどれくらいになるかは変わってきます。また、粉砕機のメーカーや販社によっては、たとえば上記の中で中粉砕だけに関しては特に定義がない、といったケースもあります。

よって、先ほどの粗砕や破砕との違いと同様、こうした粉砕の中の分類も砕いた後のサイズの大きさでどういった順になるのかを押さえておくことが、大切です。その上で、メーカーなどによってそれぞれの粉砕がどの程度を指すのかを確認することがおすすめです。

なお、リサイクルの分野では超微粉砕機を使うケースは少ないともいわれます。やはりどの大きさを超微粉砕というかは断言できないものの、少なくともリサイクルでは極めて小さいサイズに対象物を砕くことはしないとご理解いただけそうです。


粉砕機で砕く対象物|プラスチック、木など5つの素材

リサイクルで粉砕機を使う場合、砕く対象となりやすい素材、5つを紹介します。また、粉砕した後にどのような方法でリサイクルされるかも取り上げます。

プラスチック

廃棄したプラスチックを粉砕機で粉状にしたものは、「フレーク」と呼ばれます。このフレークを溶融するなどして再び製品をつくる場合があれば、一度、ペレット(粒)という原料に変えた上で製品にするなどの使われ方があります。

木を粉砕機にかけるのは、剪定した木、材木の使えなかった部分などを再利用する場合です。粉砕後、ウッドチップという素材となり、土壌改良材やバイオマス燃料として利用されます。

ゴム

廃タイヤなど廃棄されたゴム製品は、粉砕した上で再利用します。再びゴム製品として使う場合があれば、道路舗装の材料の一部にするなど土木分野で使う場合もあります。

食品

食品には皮や芯など食べることが難しい部分が存在します。こうした食品廃棄物を粉砕し、肥料にしたり家畜飼料にしたりが可能です。

なお「食品」と「粉」という文字から、小麦粉など穀物の粉を思い浮かべる方もいるかもしれません。こうした粉は、粉砕機ではなく製粉機と呼ばれる機械でつくられます。

ガラス・セラミクス

ガラスを粉砕してリサイクルする場合、溶かして再びガラス製品とします。これは、溶融再生と呼ばれる方法です。また、アスファルトの材料の一部として再利用するケースもあります。

セラミクスを粉砕した後は、複合材料やコーティング剤などとしてリサイクルするケースが見られます。


粉砕機の種類

粉砕機は、リサイクルで使われる場合があれば、それ以外の用途に使われる場合もあります。ここでは、リサイクルで使われるケースが見られる4種類の粉砕機を中心に取り上げつつ、別の用途で使われる粉砕機がどのようなものかも紹介します。

ローラーミル

ローラーミルの主要な構成物は、テーブルとローラーです。テーブルは回転するもので、その上に粉砕する対象物が載ります。さらに、テーブルの上には数個のローラーがあり、これが対象物を粉砕します。

ジェットミル

ジェットミルは、粉砕室の中に圧縮空気や高圧ガスなどを送り込み、気流をつくりだします。そして、同じく粉砕室の中に、粉砕する対象物を投入。対象物は、気流に乗りつつ、対象物同士がぶつかり合うことで砕かれます。

ハンマーミル

ハンマーミルは、この後、取り上げるピンミルとともに、「高速回転粉砕機」と呼ばれる粉砕機の一種です。

粉砕室の中には、金属製のハンマーがついたローターが高速回転しており、その下にはスクリーンメッシュと呼ばれる穴の開いた鉄板があります。粉砕の対象物を粉砕室内に投入すると、スクリーンメッシュの穴を通る大きさになるまで、砕く作業を繰り返す仕組みです。

ピンミル

ハンマーミルと同じく高速回転粉砕機の一種であるピンミルは、多数のピン(突起物)の付いた2枚の円盤が主な構造物です。片方、もしくは、両方の円盤が高速回転し、粉砕の対象物はピンとの衝突、せん断、摩擦により、砕かれていきます。

その他

続いて、リサイクルではあまり使われることの少ないタイプの粉砕機、珍しい粉砕機をここで取り上げます。

破砕機には、一軸破砕機、二軸破砕機と呼ばれるものがあります。これらと同じ構造で「粉砕機」として使われているものも存在。一軸粉砕機は、刃の付いたローター(回転刃)と固定刃が主な構造物です。回転刃が回り、粉砕の対象物を固定刃に押し付けるようにしながら砕いていきます。二軸粉砕機は、2個のローターが中央に向かって回転。粉砕の対象物がローターの間を通ろうとしながら砕かれてきます。

研究開発用途に使われる粉砕機として、容器駆動型ミルがあります。粉砕の対象物を入れる容器が回転したり振動したりして、砕いていくものです。容器駆動型ミルは、回転ミル、振動ミル、遊星ミルといった種類があります。

また、超微粉砕機という極めて小さいサイズの粉になるまで砕く機械があります。こうした機械が存在するのは、小さい製品・部品の材料として使うためです。超微粉砕機には、アトライターやビーズミルといった種類があります。


粉砕機を導入・利用する際の注意点

後ほど詳しく取り上げますが、粉砕機は決して安い機械ではありません。そのため、できるだけ長持ちさせたいところです。

メンテナンスにおける注意点を紹介すると、ローラーミルのローラーやピンミルの円盤など、粉砕の対象物と衝突したり力が加わったりする部分は定期的に交換することがおすすめです。粉砕室内も定期的な掃除をすると、長寿命化につながります。

また、金属など硬いものが粉砕機に混入すると、設計時の想定以上の力がかかってしまい、故障の原因となります。よって、粉砕前に徹底的な選別が必要です。確実に異物混入を防ぐならば、磁選機や金属探知機を導入する方法もあります。


粉砕機の価格相場|中古品やレンタルは?

粉砕機を導入する場合、どれくらいの金額が必要となるのでしょうか。

ここまで取り上げてきたように多種多様な粉砕機があるため、全体的な相場感を出そうとするとどうしてもレンジが広がってしまいますが、10万〜数百万円程度がよく見られる価格となっています。

販売会社が中古品を取り扱っている場合もあります。中古品は、価格ばかりを見るのではなくどのような状態であるかまで見ることがおすすめです。実際に使う場面を想定して、構造物、部品が使える状態になっているか、確認しましょう。

リサイクルに使えるタイプの粉砕機では例が少ないものの、メーカーや販売会社によってはレンタルを行っている場合もあります。


粉砕機メーカーと粉砕に関する
ソリューションを提供する企業の例

粉砕機や粉砕に関するソリューションの事例もあります。高機能素材Week 、リサイクルテック ジャパンの出展社の中から具体的な製品を見ていきましょう。

ドナウ商事 株式会社|再生ペレット押出機

1つに統合されたリサイクルシステム 粉砕、乾燥、減容、押出、ペレタイジングまで1台で実現します。

軟質プラスチックから硬質プラスチックまで多品種の材料をリサイクルする事が可能です。

省力化効果もあり、さらに生産量を増やすことが可能です。

スクリュー径ラインナップ:80mm,100mm,120mm,140mm,160mm,180mm

株式会社ENMA JAPAN|EnMa G200シリーズ 低速粉砕機

破砕機や粉砕機をつくるフランスのENMAというメーカーがあります。
日本では、株式会社ENMA JAPANが代理店を務めています。

ENMAの粉砕機の一つが、EnMa G200シリーズ。

EnMaG200シリーズ低速粉砕機は、幅200mm~450mm、直径200mmのローターを使用。 回転数が低いため、機械の騒音レベルを低下させ、粉砕中の粉塵を少なくします。 多品種導入口や高さ調節が出来るので、様々な規格生産ラインに設置が可能です。

日本シーム 株式会社|プラ洗ユニット(洗浄粉砕機PFS-40型,遠心脱水機SW-408型)

洗浄粉砕機と脱水機の小型ユニット ・一台2工程で洗浄と粉砕を同時に。 ホッパー上部から処理物と水を投入し洗浄と粉砕を同時に行うことで、高い洗浄効果と効率を実現します。

また、乾式粉砕も対応可能です。

ローターの構造がオープンスペース 抱き込んだ品物を逃す部分を作り、流動性を促進、品物同士がオープンスペースでこすれる事により粉砕効率及び洗浄効果を格段にUPさせました。

洗浄粉砕で粉塵を大幅に抑制 処理物と水を投入し粉砕と洗浄を同時に行う洗浄粉砕では、注水をすることで、洗浄効果だけではなく粉じん抑制効果も得られます。

仕上げの遠心脱水でプラをより綺麗に。 高速回転するローターとスクリーンにより、らせん状に本体内を通過させ、竜巻効果で、廃プラを強力に洗浄脱水します。また、点検トビラを大きくし、掃除性をアップしました。 内部装置のスクリーンは分割取り外しが可能です。

TESSHA株式会社|産業用サイレンサー

また、粉砕機メーカーではありませんが、粉砕に関するソリューションを提供するのがTESSHA株式会社です。同社は、工場・プラントの脱臭装置とともに防音対策の製品も提供しています。

上の写真の産業用サイレンサーは、粉砕設備への導入をアピールしている防音対策製品です。


まとめ|さまざまな素材をリサイクルするために必要な粉砕機

粉砕機は、プラスチックや木、ゴムなどのさまざまな素材を粉状にする機械です。リサイクルで粉砕機を使う場合、粉になった素材は資源として再利用されます。そして、製品となり再び社会で使われます。

リサイクルテック ジャパンでは、粉砕機や破砕機、リサイクルで使われる機械、その他の環境関連のソリューションを展示。これらの導入を検討している方は、ぜひお越しください。

【展示会情報】

リサイクル テック ジャパン -リサイクルの革新技術・エコシステム構築展-

<東京展>会期:2026年9月30日(水)~10月2日(金)会場:幕張メッセ      

<大阪展>会期:2026年5月13日(水)~15日(金)会場:インテックス大阪


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